米スポーツ専門TV局・ESPNの電子版は、そんな衝撃的な見出しで『レッドソックス情報』を伝えていた。2人とは左腕エースのジョン・レスター(30)と、上原浩治(39)のことだ。
7月末のトレード期日が近づくと、メジャーリーグ各球団は“大移動”を行う。この時期にもなれば、今季の戦況がおおよそ見えてくる。上位チームは優勝を確実なものにするためピンポイントで弱点を補おうとする。一方でV戦線から脱落したチームは、高額年俸のベテランや複数年契約最終年の選手を売る。その見返りに若手をもらい、来季以降に備えるのだ。今季のボストン・レッドソックスはV戦線から脱落した後者であり、契約最終年で425万ドル(約4億2500万円)と高年俸の上原は“放出候補”に挙げられている。
「いや、むしろ上原に興味を示している上位チームが多く、レ軍の出方を伺っている節も感じられます」(現地特派記者)
レ軍のベン・チェリントンGMは「ウチはファイヤーセールはやらない」と上原放出を否定してきた。「このメンバーなら巻き返しも可能」と見ていたからだが、ついに最下位に転落。「踏ん切りも付いた」と地元紙は伝えており、同GMも“無口”になり始めた。
「新クローザーとして期待していたネイサンが不振のタイガース、すでに5人にセーブポイントが付いていてクローザーの不在のインディアンス、ブルペン陣が不安定なエンゼルス、パイレーツ、ジャイアンツが上原に強い関心を持っています」(前出記者)
上原の存在感が増した理由は他にもある。今回のファイヤーセールでもっとも注目を集めていたカブスのローテーション投手、サマージャとハメルがアスレチックスに“強奪”された。市場の目玉だった先発投手の行き先が早々に決まってしまったため、ヤンキース、ブレーブス、ドジャースが「計算の立つリリーバーを獲り、先発は若手投手に託す」作戦に変更しつつあるという。
「レ軍は外野手、それも左打者の補強が急務です。ビクトリーノが故障し、ブラッドリーが不振。昨年オフ、主軸のエルズベリーを引き止めなかったツケが出て、30球団トップだった得点力は大きくダウンしてしまった」(プロ野球解説者)
ヤンキースは外野手の層が厚い。同一リーグのライバル同士だが、一時期に上原のニューヨーク行きが噂されたのには訳がある。両チームの利害関係がこれ以上ないほど合致していたからである。
「契約最終年が近づいたレ軍の放出要員候補は他にもいます。でも、ほとんどの選手は『大幅ダウンでもいいから残りたい』と意思表示しています。上原は自身の去就に関して無言を貫いており、そのため、『放出しやすい』とも目されています」(前出特派記者)
上原が違うユニフォームを着て、2年連続でワールドシリーズを戦う可能性が高まってきている。