西友は旧西武グループの西武百貨店が1956年に設立した『西友ストア』が始まりだが、バブル崩壊後に財務状況が悪化。2002年にウォルマートと包括提携し、'08年にウォルマートの完全子会社となった。しかし、その後も業績は伸びず、今年7月になり売却が決定的と報じられ、複数の流通大手や総合商社、投資ファンドに打診しているという。
「総合商社では、西友とウォルマートを仲介した住友商事が“隠れ本命”と言われている。中国のアリババが日本に本格進出する拠点として西友に目をつけていることを知って、ウォルマートに強力なコネを持つ住友商事が一枚噛むと見られているからです」(経済ジャーナリスト)
アリババはアマゾンと並ぶ、巨大ネットサービス事業社。アマゾンは、米国では米ウォルマートの“天敵”とも言われている。
「アリババが有力視される理由のキーワードはオーガニック。この分野はアマゾンが買収した米国の高級食品スーパー『ホールフーズ・マーケット』が強く、訪日客を取り込むには不可欠。アリババは西友の店舗を利用してオーガニック食品を売る戦略で買収するのでは、と言われている」(同)
そのアリババの前に立ちはだかったのが『ドン・キホーテ』を展開する『ドンキホーテHD。大原孝治社長が「興味がある」と買収に意欲を示したからだ。
「しかし、単独での買収となるとリスクが伴うため、ドンキが提携するユニー・ファミリーマートHDの親会社となった伊藤忠商事がバックアップするのでは、と見られている。つまり西友の買収はアリババ、住友商事、伊藤忠商事の三つ巴の争いの様相を呈しているのです」(小売業界関係者)
東京近郊に住む主婦からは「意外に一番買いやすく、安いのは西友かも…」の声が多く聞かれる。いずれにしても、買収のカギを握るのは日本の総合商社だ。