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「国はアテにできない!」 ローカルアベノミクス地方創生悲喜交々の現場(1)

 安倍政権が消費税増税を再び延期した。
 6月1日に行われた記者会見で安部首相は「新興国経済に問題がある」と繰り返し、「アベノミクスは順調に結果を出している」と強調。しかし、増税のタイミングを二度にわたり整えられなかったことは、すなわち“失政”と指摘されても仕方あるまい。
 「安倍政権が進める地方創生も同じ路線の政策です。ローカル・アベノミクスというキーワードで、地方を元気にするという方針でした。アベノミクスの成果を地方にも拡大させるのが基本的な主旨だったのですが、一部の大企業は円安の恩恵を受けたものの、日本経済は'13年から'15年の実質賃金がマイナス4.6%。地方に至っては5%を大きく超えました」(経済記者)

 ますます懸念される都市と地方の格差−−。そんな状況であっても元気溢れる地域は存在する。その一例が島根県浜田市。住民によっては「迷惑施設」と捉える刑務所誘致を成功させ、地域活性化をもたらしているのだ。PFI方式(民間が事業主体としてその資金やノウハウを活用し、公共事業を行う方式)により運営されているその刑務所の名称は『島根あさひ社会復帰促進センター』という。
 「2008年に施設が建設されると、刑務官180人が赴任。家族まで含めれば正規職員関係で300人を超す人が浜田市旭地区にドッと流入してきました。加えて、民間警備350人が地域定住や近隣から通勤するようになり、若い夫婦も多く小学生も増えました」(市役所の担当者)

 この地域、今は合併で浜田市だが、以前は旧旭町。1960年代に7000人近くあった人口は半減、高齢化も加わって急激な過疎に見舞われた。このままでは限界集落になると懸念した当時の町長が逆転の発想で刑務所誘致を決断。しかし、同様の発想をする自治体は多く、競争率は約70倍もあったという。その激戦を制した最大の理由は反対運動がなかったからだ。
 「当初は反対の動きもありました。しかし、最も犯罪歴が少なく更生可能な人が収用される受刑者施設と説得。さらに日本最初の山口県の民活刑務所を見学して、博物館かホテルのような環境にビックリ。急激に反対の声がしぼみました」(同)

 実際、浜田市の同施設にも高い塀はない。また、すぐ近くに高速道路が走り、大病院までも15分足らずだ。
 「今は受刑者の医療もしっかりケアできるのが必須条件。県がとにかくバックアップしてくれました」(同)

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