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親会社ルノーピンチ! 姑息な組合対策で馬脚をあらわす 日産ゴーン社長のカネと野心(2)

 果たせるかな、北米市場の新車販売で2桁増の快進撃となったトヨタ、ホンダを尻目に、日産は微増にとどまり、「日産の独り負け」(証券アナリスト)という屈辱を味わった。
 この事態に激怒したゴーン社長は、本来4月1日付で行う予定だった役員人事を急きょ1月1日付で実施、北米や欧州、中東アフリカなどを統括する地域担当を大刷新した。発表に際し「緊急課題を考慮して人事を前倒しした」と説明したが、関係者は「野望が頓挫したことで相当カリカリしていた」と打ち明ける。
 実際、ゴーン社長は1月17日、日産が部品メーカーを集めて開いた賀詞交換会で、「部品供給の混乱は無視できない」と苦言を呈したが、混乱の背景にある、自ら掲げた壮大な販売計画には言及しなかった。
 弱り目にたたり目というべきか、国内メーカーではトップシェアを誇ってきた中国市場で外交問題のあおりを食らい、さらには国内市場でも、活況に沸いているハイブリッド車や軽自動車に消極的だったことが裏目に出る始末。要するに日産はいまや、日米中の世界三大市場で存在感をアピールできていないのだ。

 これに追い打ちをかけるのが、鳴り物入りで投入した電気自動車(EV)の予想外の不振だ。日産は2010年12月、EV車『リーフ』を発売、ルノーとトータルで'16年度までに累計150万台の販売目標を掲げるが、昨年暮までの累計世界販売はたったの約5万台。苦肉の策として4月からの値下げを発表したが、充電インフラへの不安がユーザーに根強く、どこまで盛り返すことができるかは不透明である。
 「強気ラッパを吹き鳴らすゴーン社長も、内心ではEVの限界を察知した節がある」と、日産ウオッチャーは打ち明ける。
 「日産・ルノー連合は先ごろ、フォード、ダイムラーと“水素を燃料とするもうひとつのEV”燃料電池車の共同開発を決めた。一足早く提携したトヨタ、BMW陣営への対抗策だが、とにかく主導権争いでトヨタに一泡吹かせてやろうとの魂胆が透けてくる。彼が1月半ばに北米自動車ショーで、EVの低迷に『失望している』と口を滑らせたのも、裏を返せば、高速充電器の規格争いで日米欧がにらみ合いを続けるEVの市場性に見切りをつけるべき時期と考えたからでしょう」

 ただ、ゴーン社長といえば百戦錬磨のツワモノである。どこまでが建前でどこからが本音か、真意は読み取りにくい。前出のウオッチャーが苦笑する。
 「唯一ハッキリしているのは、ルノーと日産双方の経営権を手放す気がないこと。まだ50代ですし、彼を会社から追い出そうとする勢力も出てこない。フランス政府だって、簡単に詰め腹は切れませんから」

 それを知っているからこそ、報酬の3割カットでお茶を濁す魂胆なのか…。さすがは“コストカッター”の異名をとったゴーン社長である。

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