2011年にメジャーデビューした際、キスマイはロケットスタートだった。SMAP(解散)のチーフマネージャーだった飯島三智氏(現在は稲垣吾郎、草なぎ剛、香取慎吾が所属する芸能事務所「CULEN」代表取締役社長)が担当マネになったからだ。同8月10日にリリースされたデビューシングル「Everybody Go」の発表イベントを東京・恵比寿ガーデンプレイスで開催した直後に、「SMAP×SMAP」(フジテレビ系)の大人気コーナー「BISTRO SMAP」に出演。新人グループではあり得ないバーターを、デビュー当日にやってのけた。
ところが、メンバーは初めて見る“生SMAP”に体が硬直。オープニングで花束を渡されたが、SMAP5人に対してキスマイ7人で人数が合わず、千賀健永はもらえなかった。慌てた中居正広が2束目となる花を手にして、勢いよく千賀の胸にぶつけた。すると、強すぎたため花がバラバラとフロアに落ちた。それでキスマイの緊張はいささか解けたが、天下のSMAP相手にまともなトークはできなかった。
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すると、中居が「わかった。話したいやつは1回手を挙げろ。俺が『誰々』って指したら、いったん手を下ろして、2秒後に話し出せ」と指示出し。「そしたら編集で、ちゃんとしゃべってるように見えるから」とテレビ業界の基本の「き」を教えてあげた。
「何も知らないキスマイは、本当に学校の授業のように挙手。当てられてから、やや間を取ってから答えるというガイドに従いました」(テレビ誌のライター)
しかし中居は、“ジキルとハイド”の素顔をのぞかせた。「だっせぇ」「気持ちわりぃ」と荒々しい言葉で受け返して、キスマイを狼狽させたのだ。キスマイはスタッフや番組観覧客がいる前でバカにされたと思い込み、後半の歌パートの収録前には「中居さんて、性格悪いね。俺らを潰しにきてるよ」と同調し合った。
以降、キスマイにとって中居は「性格が悪い先輩」であり続けた。しかし、その後に経験していったさまざまな「グループ初」の現場には、常に中居がいたことに気づいた。師弟関係になっておよそ12年。現体制のキスマイにとってラストシングルとなる「ともに」は、メンバーはもちろん、ファンや事務所、そして中居に捧げるメッセージソングと言えよう。
(伊藤由華)