2月6日の巨人・宮崎キャンプは一軍と三軍が休養日、グラウンドを使っていたのは二軍だけだった。いや、二軍だけでも良いのだ。ドラフト1位ルーキー・浅野翔吾外野手(高松商)が見たいのだから…。
>>巨人・松田、外野に意欲も動きがフラフラ? 期待の新助っ人にも不安要素か<<
「午前中にフリー打撃練習が行われ、浅野も打席に立ちました。ヒット性の打球は2本だけ。先輩たちの投げるボールに差し込まれ、苦戦していました」(現地記者)
左手のマメがむけていて、思うようなスイングができていないとの情報も流れていた。マメがむけた状態でバットを振る痛さは経験した者にしか分からない。私見だが、1月の新人合同自主トレの時よりもバットスイングに迫力がなかった。
しかし、そういった”ケガの情報”が外部に流れるということは、
「ひいき目に見てやってくれ。まだ新人なのだから」
なる球団からのメッセージも含まれているのだろう。
浅野が対戦した先輩は、育成の右腕・木下幹也、2年目の左腕・石田隼都の両投手。ともに将来を嘱望されているものの、球速をウリにしている投手ではない。
「(プロの球は)高校と違って、伸びがある」
“プロ投手との初対戦”を終えた浅野の感想だ。完敗といった表情を浮かべていた。
とは言え、その後、室内練習場に移ってからのマシン打撃では快音を響かせていた。マシンが変化球に設定変更されてからも鋭い打球を弾き返していた。
「早朝のアーリーワークでもスイング量を少し減らしています。合同自主トレから休日はあってないようなもの。マメの痛みがあるうちは練習量をセーブさせ、疲労回復にも努めさせたいと首脳陣は考えているようでした」(前出・同)
マメができたのは、むしろ好都合だったのでは? と言うのは、二軍スタートとなった中堅選手の何人かが「超」のつくハイペースな調整ぶりを見せていた。
一人は、石川慎吾外野手。バッティングは「明日が開幕戦でもOK」という好調さ。浅野とは対照的にヒット性の打球を連発させていた。廣岡大志も良い。
「今の廣岡のバッティングなら、一軍でも通用します。ショートのレギュラー争いにも食い込んでくるのでは」
巨人キャンプを視察したプロ野球解説者の言葉だ。
また、打撃好調の石川と対戦した堀岡隼人投手だが、打たれはしたものの、スピードガンの表示は「148キロ」をマークしていた。2月のキャンプ第1クールで、だ。
浅野が堀岡と対戦していたら、自信喪失となっていただろう。
「一軍は2月15日に沖縄に移動し、翌日から二次キャンプに入ります。『沖縄に浅野を連れて行く』なんて話もあったんですが、打撃面での調整が遅れています。ただ、守備走塁はスカウトの報告以上のレベルでした」(関係者)
2月中の一軍合流が難しくなってきた。オープン戦が始まってしまえば、一軍選手を優先して試合に出さなければならないので、浅野の早期昇格の可能性はほぼ消えたと言っていい。浅野を一軍で早く見たいが、石川、廣岡らの奮闘は原辰徳監督にとって嬉しい誤算ではないだろうか。(スポーツライター・飯山満)