阪神・岡田彰布監督から出たのは、いきなりのダメ出しだった。
>>阪神・岡田監督、故障の前川を構想外に? 実戦後ろ倒しにも反対意見噴出か<<
春季キャンプ第2クール2日目(2月5日)、報道陣、ファンも完全シャットアウトされた「非公開の練習」が初めて行われた。午前11時半を過ぎた頃から、チームスタッフが宜野座ドームの入り口のシャッターを閉めていく。
「投手、内野手のサインプレーが行われる予定。岡田監督になって『サイン』の種類が増えたせいもありますが、こうした細かいプレーを習得させるため、実戦形式の練習メニューの開始を遅らせるスケジュールになったんです」(関西メディア)
しかし、その非公開練習の結末は説明するまでもないだろう。開口一番に岡田監督から出たのは、冒頭の「隠す必要なかった」の言葉。しかも、そのドーム内には同日、表敬訪問で沖縄入りした杉山健博オーナーもいたのだ。
凡ミス続きのブザマなところを見せてしまったとなれば、怒るのも当然だろう。
キャンプ訪問者と言えば、前日4日、前任の矢野燿大氏がCS放送の解説を兼ねて現地入りしている。
「赤星憲広氏も臨時コーチで現地入りしており、走塁の指導をしていました」(前出・同)
赤星氏は中野拓夢への指導に多く時間を割いていた。その中野を巡る両氏の言動が興味深い。
中野は2021年に盗塁王のタイトルも獲得したように「高い走塁能力」を秘めている。チーム関係者によれば、「赤星氏は二塁盗塁の際のスタートダッシュを切る足が『右』ではなく、『左』だった。頭が上下する悪癖を直した」とのこと。
基本動作ができていなかったという意味だ。それでもタイトルを獲ったのだから、基本動作を習得すればさらなる飛躍も期待できる。だが、矢野前監督はスタンドからこんなコメントを出していた。
「(中野は)大学、社会人でも盗塁してなかったみたいで。背中を押していけば成長するんだな、と」
気持ちを前向きにさせたのが前政権だとすれば、現・岡田政権は基本プレーを重視し、技術アップをめざしている。
矢野前監督は失敗しても「挑戦」しての結果なら、何も言わなかった。むしろ、前向きな姿勢を褒めていた。前述の完全シャットアウトで行われたサインプレーだが、岡田監督はこうも怒っていた。
「今日初めてやると言うから“えー?”と思うたわ。そらうまいこと行けへんよな。明日、天気悪かったら、ずっとやれと言うたんよ」
できるようになるまで許さない“頑固さ”だ。
関西で活動するプロ野球解説者がこう続ける。
「阪神がサインプレーの練習をやった? 近年の阪神キャンプではこの手の練習はキャンプ終盤に行われていましたが」
牽制、バントシフトなどの連係プレー…。守備の基本ができていないことが露呈した。キャンプはまだ始まったばかりなので、やり直す時間はタップリとある。凡ミスを嫌う岡田監督は、妥協は許さない。阪神ナインは現政権の厳しさを知らされたのではないだろうか。(スポーツライター・飯山満)