「2戦目の予定と思う。しっかりとゲームを作ってくれるのでは」
井口資仁監督が記者団にそう明かした。2戦目とは同28日の東北楽天戦のことだ。
敵地・楽天生命パーク宮城での先発登板となるが、岩手県出身の佐々木にとっては“準フライチャンズ”のような場所。東北のファンも同様に捉えており、「成長の証」を見せてもらいたいものだ。
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この場合の「成長」とは、投球技術のことだけではない。
「佐々木の弱点は、走者を出した時にあります。投げ急ぐというか、投球フォームが崩れてしまうんです」(プロ野球解説者)
技術的な指導を受けているが、完全に修正されたわけではない。試合中、投球フォームが崩れる場面もあれば、そうでないイニングもある。「未熟」と言えばそれまでだが、佐々木は走者のいない場面でもセットポジションで投げている。走者の有無で崩れるということは、メンタル面に原因があるわけだ。
そのメンタル的な原因について、こんな指摘も聞かれた。
「今年、プロ初勝利を挙げたことが大きい。でも、2勝目を早く挙げないと、また元に戻ってしまう」
チーム関係者がそう言う。
そもそも、千葉ロッテが育成のために与えた怪物への試練は「孤独」だった。
怪物育成を託された吉井理人投手コーチが「自分の目の届くところで」と語り、プロ1年目は出場登録もされないまま、一軍帯同となった。試合出場を前提とした他ナインとも練習内容は異なり、一人で練習することは多かった。
「二軍で実戦経験も積みながら」とその育成プランに反対する声もあり、佐々木自身も試合で投げたくても投げらない“モヤモヤ感”を抱えていた。
「今春のオープン戦、そして、公式戦でもチャンスをもらい、5月27日の阪神戦(交流戦)でやっとプロ初勝利を挙げました。勝って、結果を出せば現状から抜け出せるので、知らず知らずのうちに焦りも出てしまいました。今は『早く2勝目を』の気持ちが強すぎて空回りしている部分もあって」(前出・同)
走者を背負った場面で投球フォームが崩れるのは、その影響だろう。ピンチに陥っても動じない精神力が持てれば、佐々木は大きく飛躍する。
「同級生の奥川恭伸(東京ヤクルト)が先に先発ローテーション入りしたことも焦りにつながっているのかもしれません」(前出・プロ野球解説者)
怪物と称されていても、メンタル面では「まだ19歳」というわけか。スポーツはメンタル的な影響を受けやすい。佐々木には「一人で練習」の環境に耐えてきた精神力がある。東北のファンを唸らせてもらいたい。(スポーツライター・飯山満)