東北地方を襲った東日本大震災直後の2011年8月に、東海テレビ『ぴーかんテレビ』がぶち込んだ放送事故。同局は「番組制作側がダミーで入れていたテロップが誤って出てしまった」という釈明だったが、風評被害で国民全体がデリケートになっていた時期に、視聴者プレゼントの発表で「怪しいお米セシウムさん」「怪しいお米セシウムさん」「汚染されたお米セシウムさん」と画面いっぱいに表示するとは、見識を疑われて当然。いつ、何時でもミスは起こりえるものとはいえ、「それにしてもなんちゅうダミー作っとんねん」というレベルの、まさに呆れた放送事故だった。
◎「菊間千乃落下事故」
1998年にフジテレビ系『めざましテレビ』で起きた正真正銘の事故。菊間千乃アナ(当時)による避難器具の体験レポートのコーナーで、5階建てのビルからゆっくりと降りるはずが、器具の取り付けが甘かったために10メートル以上の高さから落下。下にマットが敷いてあったものの、落ちた菊間アナはピクリともせず、腰椎圧迫骨折の重傷で死線をさまよった。朝の生番組特有の慌ただしい進行に加え、テレビに出たかったのか、避難器具メーカーの社長自らがオペレーターを買って出るという安全への配慮が感じられない制作態勢で、避けられない事故だったと言えよう。
◎「石鹸工場爆発」
1993年に日本テレビ系『ジパングあさ6』で放送された緊迫の事故映像。「世界一純度の高い石けん」を作っているという東京都豊島区の工場を取材中、突如として工場内で爆発事故が発生した。「熱い熱い熱い!」「ぎゃあー!!」という女子アナの悲鳴が飛び交う中、画面いっぱいに火の海が映し出される。実際に取材スタッフ6人が軽傷を負ったが、フィクションの映像と比べても、ここまで真に迫る大規模火事の映像は、なかなかお目にかかれるものではなかった。この事故は、これといって謎の部分があるわけでもないのだが、前日に自らが火災事故に遭った場面を、しかも、かなり深刻なダメージを受けながら(レポーターの関谷亜矢子アナは髪が燃えたため髪形を大幅に変えて登場)放送したところに、現在のそれからはまったく感じられないテレビ業界のたくましさ、生命力のようなものが伝わってくる。はなはだ不謹慎ではあるが、時代の鏡として記憶したい放送事故映像である。