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六代目山口組vs神戸山口組 東京五輪延期で「血の抗争」に異変

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提供:週刊実話

 感染拡大を続ける新型コロナウイルスによって、会合が中止になるなどヤクザ業界にも影響が及んでいる。

「山口組とは別の指定団体から感染者が出たと聞く。重症になるケースもあるから、各組織では自主的に本部などへの出入りを制限して、感染防止に努めているようだ」(関東の組織関係者)

 東京都内では日を追うごとに感染者数が増え、非常事態宣言も現実味を帯びてきた。しかも、ヤクザ業界内で初めてといえる感染者が確認された直後の3月24日、期せずして東京オリンピック・パラリンピックの延期が決定した。

 安倍総理大臣が国際オリンピック委員会のバッハ会長と電話会談を行い、1年程度の延期で来年夏までには開催することで合意。今年7月の開催に向けて、会場の建設など着々と準備が整えられてきたにもかかわらず、新型コロナウイルスの蔓延によって事態は急変したのである。

 この五輪延期がもたらすのは、アスリートや一般社会への影響だけではなさそうだ。対立の最中にある六代目山口組(司忍組長)と神戸山口組(井上邦雄組長)の抗争にも、大きな変化をもたらす可能性が浮上。一部捜査関係者の間では、早くも「六代目山口組が動き出すのではないか」との懸念が広まったという。

「昨年8月には、五代目山健組(中田浩司組長=兵庫神戸)の組員2人が射殺され、10月には神戸山口組直参の古川恵一幹部も命を落とした。続けて他の直参2人も襲撃されたが、年が明けて以降、六代目山口組は沈黙を続けている。東京五輪の開催を意識し、世間を騒がせないためと思われ、分裂終結に向けた“トドメの一撃”は、閉幕後に起きるとも予想されていた。その五輪が延期されたとなれば、攻撃を控える意味もなくなったことになる」(業界ジャーナリスト)

 六代目山口組が五輪終了後に仕掛けるとみられた根拠は、世界的行事に水を差さないためであり、警察当局のさらなる取り締まり激化を回避するためと思われた。実際、今年2月2日に、三重県桑名市にある六代目山口組・髙山清司若頭の自宅に銃弾が撃ち込まれる事件が発生したが、現段階で報復は起きていない。

 犯人は五代目山口組時代(渡辺芳則組長)に直系組織だった中野会(解散)の元組員で、動機は個人的なものだと供述したという。しかし、中野会は山健組出身の組織だったために、神戸山口組との繋がりも一部では囁かれたのだ。

「銃撃事件から2カ月以上が経過したが、具体的な動きは聞こえていない。逮捕された犯人が元組員で、神戸山口組との因果関係も不明だからというわけではないだろう。昨年4月に三代目弘道会(竹内照明会長=愛知)の神戸拠点で組員が撃たれる事件が起きた際には、当初から山健組による犯行の線を多くの関係者が口にし、逮捕者が出る前だったにもかかわらず、山健組組員射殺事件という報復が発生した。つまり、三重での銃撃に関しても、返しが起きても不思議ではない状況だった」(同)

 ところが、六代目山口組では髙山若頭宅が銃撃された翌日(2月3日)に緊急通達を出した。「公共の場での暴力沙汰は厳禁」「組事務所などへの発砲は厳禁」といった趣旨で、組員らの行動をいさめる内容だった。

「うがった見方もされたが、今思えば内容そのままに、報復厳禁という意味での通達だったのだろう。この時点では、新型コロナウイルスも今ほど感染拡大していなかったし、五輪延期の可能性も指摘されていなかった。開催前に事を起こすな、という世間への配慮だったように思える」(同)

★髙山若頭が異例の出席

 五輪延期が決定的となった3月24日、六代目山口組の中部ブロック会議が開かれ、直系組長らが参集。開催場所は愛知県内ではあるが、特定抗争指定により定められた警戒区域外の組事務所だったという。定例会が休止されて以降、六代目山口組は各ブロック会議によって結束を維持。その席で伝達などが行われているとみられ、業界内外から注目されてきた。

「当日は中部ブロックの直参だけでなく、髙山若頭も姿を見せたらしい。重要な内容が話し合われたのか、たまたまだったのか分からないが、ブロック会議に髙山若頭が出席するなど、これまで聞いたことがない」(山口組ウオッチャー)

 六代目山口組の“指揮官”が出席したのであれば、実質の軍事会議だった可能性もある。ましてや、五輪延期が決定した当日であり、不穏さは拭えなかった。

 しかし、ある他団体幹部は一笑に伏す。

「中部ブロック会議は通常、昼間に開かれる。安倍総理大臣とバッハ会長が、電話会談によって五輪延期を合意したのは夜だろ? そもそも延期が決定したと分かる前だったんだから、軍事会議も何もないだろう。髙山若頭が姿を見せたというのは、結束強化のためだと思うがね」

 ただ、神戸山口組の一部の傘下組織内では、敵対する六代目山口組の動向に、注意を促す伝達が回ったという情報もある。

「六代目山口組は分裂終結を急いでいるはずだ。五輪延期によって自粛する理由がなくなったとすれば、短期集中戦に持ち込むのではないか。抗争の雲行きが、ここへきて大きく変わったように見える」(前出・山口組ウオッチャー)

 攻勢の中心的な役割を担うとみられる弘道会の三次団体、四次団体からは、2月上旬の日付で10名以上の処分者が出た。明確な処分理由が掴めなかったため、業界内外では地下潜伏の可能性も指摘され、不穏さが一気に増したのだ。

「今のところ、具体的な動きは一切聞こえてこないが、警察当局も警戒を強めているのではないか」(同)

 弘道会では、3月9日に松山猛統括委員長が愛知県警によって風営法違反の容疑で逮捕され、28日には別の店も無届けで営業していたとして再逮捕された。

「県警は、売り上げの一部が組織の資金源になっていたとみて、取り締まりを強化したようです。一昨年には、同じ弘道会の南正毅若頭補佐が、用心棒代を受け取ったという愛知県暴排条例違反の疑いで逮捕、起訴され、現在は服役中です。県警が組織の弱体化を狙っているのは明らかでしょう」(全国紙社会部記者)

 警察当局の攻勢を受け、弘道会がいっそう守りを固めることが予想され、その動きは六代目山口組の関東ブロックでもみられた。3月26日、神奈川県内にある三代目益田組(山嵜昌之組長)本部で、ひそかに会合が行われたのだ。

 この日、開かれたのは関東ブロックの若頭会で、ホスト役を務める益田組の水島秀章若頭が車両から降り立つと、五代目國粹会(藤井英治会長)、落合金町連合(佐藤光男会長)の東京勢や、茶谷政一家(茶谷政雄総長)などの北海道勢も到着。正午までに関東ブロックの若頭らが顔を揃えた。

 本部の外で神奈川県警や警視庁の捜査員が警戒に当たる中、会合は約1時間に及び、今後の対策も議題に上ったという。

「関東では分裂後の早い段階で親睦会を行うなどして、横の連携を強めてきた。それだけに、若頭会が重要な会合だったことは明らかで、今回は情報管理体制の強化などを確認し合ったようだ。今の時代、SNSによって情報が爆発的に広まる。ガセに惑わされないように、という意味でもあると思うし、もしかしたら本当の情報も出回っていて、漏洩を防ぐためでもあるのかもしれない。“いざというとき”に備えている印象だ」(他団体関係者)

 会合が終了すると、出席者を見送るために水島若頭が玄関口に姿を現した。國粹会の橋本龍雄若頭と固い握手を交わし、にこやかな表情を浮かべる様子からは、会合で結束を再確認したことが伝わってきた。

 しかし、五輪延期によって戦術が変わる可能性は、六代目山口組だけではなく、神戸山口組にも同様のことが言える。新型コロナウイルスの感染拡大とともに、業界内外では抗争の再燃もまた懸念されているのだ。

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