その文大統領は去る10月18日、金正淑夫人を伴ってバチカン法王庁を訪問し、ローマ法王フランシスコを謁見した。イエス・キリストの高弟ペテロの後継者であるローマ法王は、カトリック信者にとって雲の上の存在といえるから、謁見は。カトリック信者としては最高の栄誉だったはずだ。
だが、果たして文大統領の信仰は本物だろうか。
文大統領は人権派の弁護士だが、北朝鮮の人権弾圧に関しては追及どころか一言の言及さえない。また、ベトナム戦争時における韓国軍兵士による現地ベトナム人女性への暴行問題やライダイハン(韓国人兵士とベトナム人女性の間に生まれた子供)に対する補償などの言及もない。
しかしその一方で、日本の韓国(朝鮮半島)統治時代の徴用工と称する労働者に対する「慰謝料」を、人権蹂躙という観点から日本企業に要求したり、旧日本軍の慰安婦問題をあげつらうことには余念がない。
要は、日本がやったことはすべて悪だと決めつけているわけだ。
「韓国の政治家は『日本非難を愛国だと思っている』のは間違いないが、文大統領は就任後、『積弊清算』を掲げ、反日活動を進めてきました。過去の過ちを反省し、悔い改めることはキリスト者として基本的な姿勢ですが、文大統領の場合、民族の過失や過ちを悔い改め、内省するのではなく、過去の過ちはすべて日本側にあるとして、日本の朝鮮半島統治時代を追及し糾弾しているだけなのです」(朝鮮半島ウオッチャー)
韓国のキリスト者で政治家でもある潘基文(パン・ギムン)前国連事務総長は、国連広報への宗教欄を無記入としたという。その心は?
「その理由を『国連事務総長は中立的な立場だから』と本人が言いましたが、ことテーマが日本に関連することとなると、中立どころか、文大統領を凌ぐ反日的言動を展開させたことは記憶に新しい。宗教欄を無記入したのは、自身がキリスト者としては、全く違う信条の持ち主であることを隠蔽するためで、中立主義を主張するためではなかったのです。その意味では、最初から中立主義とは言わず、明確な反日を主張する文大統領の方がまだ正直だと言えます」(同・ウオッチャー)
実は韓国の政治家や官僚、外交官にはカトリック信者が多い。
「韓国では出世を目指すなら、カトリック教会に入った方が都合がよいという不文律のようなものが存在しているからです。韓国の人口中、プロテスタントが18.3%、カトリックは10.9%もいますが、決して敬虔なクリスチャンが多いというわけではありません。日本のカトリック人口は1%くらいで、首相経験者の13%がキリスト教の信者といわれます。麻生太郎財務相もカトリック信者ですが、日曜日の礼拝後、ホテルでワインのグラスを傾ける方が好きだという信者ですから、別に熱心ではない。日本のキリスト者もどちらかというと麻生型が多いが、文、潘両氏も『麻生型』でしょう」(宗教ジャーナリスト)
左翼・革新政権下の韓国では「積弊追放」の名の下で、無理な過去否定が強行され、その結果「国の信用」は大きく棄損している。偽善者が為政者になっているから――。こう言えば実に分かりやすい。