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歌謡(うた)のマドンナ 第1回 香西かおり 演歌歌手の歌うジャズはお好き?

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提供:週刊実話

 '88年にデビューし、紅白歌合戦にもこれまで18回出場している香西かおり。凛とした着物姿のイメージが強いが、とあるステージを終えた後の楽屋でインタビューに応じてくれた彼女からは、とても気さくな人柄が伝わってきた。
 「今は大阪在住です。自転車に乗って、買い物に行ったり、喫茶店に行ったり。下町で普通にご近所さんと一緒に夜な夜な飲んでますよ(笑)。カラオケスナックとか行くと、歌が大好きな人たちが集まっていて、目の前で私の曲をガンガン歌ったり(笑)。私がいると『歌ってよ!』ってよく言われるんだけど、店のマスターがちゃんと『高いで?』って制してくれたり(笑)。大阪って、住んでて楽ですね。知らんぷりするんじゃなくて、『あ! かおりちゃん来てたのー?』とか言ってくるわりには、後はもう気にせずにみんな自由に飲んでる。そういう、放っとかれ方が楽ですね」

 そんな彼女が、アルバム『うたびと〜ステージ・シンガー〜』を発売した。日本の音楽界で活躍してきた錚々たるミュージシャンとともに作り上げたという。フォークソング、ジャズ、民謡など、様々なジャンルの歌を集めた異色の構成だ。
 「“香西かおりの歌のルーツを表現する”というのがこのアルバムのテーマ。私は音楽をジャンルで区別したくなくて、『いい歌だったら、ジャンルなんて何でもいいじゃない?』という思いが強くあります。どんな歌も、ただ表現者として歌えたらいいなと思っているんです」

 参加ミュージシャンは、久米大作(キーボード)、山岸潤史(ギター)、清水興(ベース)、バカボン鈴木(ギター)、仙波清彦(ドラムス)、木乃下真市(津軽三味線)など。香西の代表曲『無言坂』を安全地帯の玉置浩二が作曲したのは有名だが、彼女はそれ以外にも様々なジャンルのアーティストやミュージシャンと交流が深く、長年にわたって頻繁にライブで共演してきたのだという。
 「特に宣伝したりするわけでもなく勝手にやってきたから、知らない人には意外に思われるかも(笑)。サプライズゲストみたいな形で、結構たくさん彼らのライブに出てるんです。かつてアジア地域をツアーする公演に一緒に参加したこともあるし、日頃から一緒に飲んだり、そういうお付き合いがたくさんあります」

 アルバムでは、ジャズのスタンダード『センチメンタル・ジャーニー』から、フォークの名曲『プカプカ』、民謡『津軽あいや節』まで、ライブ感たっぷりの聴き応えに仕上がっている。レコーディング時の写真からは、気心の知れた仲間とまるで合宿でもしているかのような和気あいあいとした雰囲気も伝わってくる。
 「世代はそれぞれ違うんですけど、同窓会のような感じでした。基本的に全曲、私の歌とみんなの演奏を同時に録っています。編集でつなぎ合わせたりしていないので、すごくナチュラルでいい仕上がりになってます。アレンジも細かいところまでは決めずに、何回か一緒にやってみて、感じをつかんでから『せーの!』で録って。私の歌やお互いの演奏を聴きながら、そっちがそう来るんだったら俺はこうしようとか、きっとこういうアプローチで来るだろうなとか、そんなやりとりが自然にできる。本当に素っ裸の私の歌を知ってくれている仲間たちなんです」

 つまり、いずれの曲も一発録り。超一流のプロたちが集まったからこそできる離れ技である。
 「もうドキドキですよ。英語の歌もあるので、歌詞を間違えないように(笑)。でもすっごく楽しかったです。参加してくれたみんなが『いいものができた』と喜んでくれてるのが一番うれしいですね」

 こういう作品を出したことで、今後は演歌から離れてしまうのか、従来のファンがさみしい思いをするのでは…? そう尋ねると、大笑いしながら否定された。
 「その心配はまったくないです(笑)。私のファンの皆さんは、こういう演歌以外の曲を歌っている香西かおりに慣れてますし。それに、演歌という本筋はちゃんとやっていくので。こういうのは、遊びでやるからかっこいいし面白いんですよ。そのジャンルを本気でやってる人には絶対に敵わない。でも『ああ、香西ってこういう歌も歌うんだ』とか『この時代の音楽っていいよね』と思ってもらえれば十分。こういった本筋とは違う所にたまに気持ちが行って、またこっち(演歌)に帰ってくると、すごく新鮮に感じて、それまで聴こえなかったものが聴こえたりするんです。だから両方必要。それを行き来しながらの繰り返しですね。春には演歌の新曲を発売する予定です」

 歌詞を伝えることを特に大事にするのが演歌。香西にも、言葉の表現には深いこだわりがあるようだ。
 「例えば『悲しみ』という言葉一つとっても、いくつもの種類がありますよね。人と別れた時なのか、何かが壊れちゃった時なのか、あるいはペットが死んじゃった時なのか…。人として暮らしの中で刺激を受けて経験を積んでいかないと、『言葉の色』は増えていかないと思うんです。そういう意味で、デビュー曲の『雨酒場』は、いまだに1回も、満足に歌えたことがないですね。たぶん一生、完璧に歌えたと思えることはないかもしれません」

 ドレスでジャズを歌う姿もテレビで見てみたいが…。
 「八代亜紀さんもジャズやってるし、坂本冬美ちゃんもニューミュージック系のカバーとかやってる。こういうものを歌番組で披露できるといいですよね。ただでさえ演歌の歌番組が少ない中、ヒットを出すことは難しいけれど、何がヒットするかは誰にも分からない。だから頑張れるんです。いろんなことをやって模索し続ける中でこそ、いい作品に出会えるものですから。今回せっかくいいアルバムができたので、発売記念ライブをやれたらという話はしています。とりあえず、仲間たちで集まって『発売記念飲み会』は必ずやろうと思っています(笑)」

こうざいかおり=1963年8月28日大阪市港区生まれ。'88年『雨酒場』でデビュー。同年第30回日本レコード大賞など各新人賞を獲得。'91年には『流恋草』の大ヒットで第24回日本有線大賞を受賞し、NHK紅白歌合戦へ初出場を果たす。'93年には『無言坂』で第35回日本レコード大賞を受賞。現在、演歌歌手としての活動のほかポップスから民謡、歌謡曲までと幅広く活躍中。『うたびと〜Stage Singer〜』は、2015年12月9日発売(ユニバーサル・ミュージック)。

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