改めて怪我の具合が悪いことが判明し、「まだ若いんだから無理をせず、次に備えれば」と思ったファンも多いはず。
しかし、“テニス界の哀しい宿命”によって、錦織は無理をしなければならない立場にあった。
「テニス選手の評価は世界ランキングがすべて。そのポイントの加算ルールが選手を酷使させるようにできているのです」(担当記者)
加算対象となるのは、過去1年間に挙げた上位18大会のポイント。20大会に出たのなら、ポイントを挙げた上位18大会でのポイントを合算し、19位以下の大会は切り捨てられる。
また、得られるポイントも大会ごとに均等というわけではない。全英、全豪、全仏、全英の4大大会はポイント設定が高く、これに出るか出ないかだけでも大きく違ってくるという。
しかも、出場した大会後、52週が経過すると、そのポイントは自動消滅していくので、プロテニスプレーヤーは大会に出場し続けなければならない。つまり、錦織が無理をした理由は「ウィンブルドンのポイント」が高かったからなのだ。
「錦織はCM契約も多く、ランキングが落ちれば契約更新にも影響します」(同)
ざっと計算して、1カ月に2大会は出なければならないのがランキング制。体の小さい日本人が海外を飛び回って、無休で戦い続けるのは酷な話である。
「棄権する前まで、錦織のランキングは5位。ダウンは必至で、怪我の影響も考えると、7〜8月は大会に出ても上位進出は期待できない」(専門誌記者)
錦織の怪我は1回戦途中で悪化した。ここに連戦の疲労が加わり、回復はかなり遅れるとみられている。
師匠・松岡修造への義理で、つかの間のオフもバラエティー番組出演やスポンサー対応で休めない…そのツケも、ないとは言えない。