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年末年始レポート 長嶋茂雄と野村克也「犬猿の2人」似通う晩年〈スポーツジャーナリスト・吉見健明〉(1)

 「ひまわり」の長嶋茂雄(80)と「月見草」の野村克也(81)。現役時代から宿命のライバルはそう比較されてきた。長嶋は脳梗塞、野村は解離性大動脈瘤で生死を彷徨う大病と闘い、それを克服している。その生命力たるやご両人とも凄い、と言わざるを得ない。
 長嶋は2月20日で81歳となり、野村は6月29日で82歳だ。実現の可能性は限りなくゼロに近いが、2人の心の支えになっているのは“もう一度監督がしたい”だ。そのモチベーションがあるからこそ、大病を乗り越えられたのだ。
 偶然か必然か、犬猿の仲と言われてきた2人の晩年の境遇が似てきた。大阪スポーツニッポン記者時代から49年間、2人を追ってきた老兵記者が近況をリポートした。

 2年連続で、私は11月末から正月を返上しての年末年始、東京・玉川田園調布にある野村克也邸をマークした。というのも、一昨年同様、野村の再入院情報が流れたからだ。野村邸には連日、午後4時半から視察した。
 昨年5月のゴールデンウイーク連休中もそうだったが、午後5時半に白のレクサスに乗り込む野村の姿を何度か見掛けたものだ。もちろん、運転するのは私設運転手である。
 年の瀬も押し詰まった昨年12月25日。少し痩せてはいたが、ブルーのジャケットに黒のスラックス姿の野村が自宅から出てきた。いく分ふらついて歩いてはいたが、勝手口からの急勾配の階段10段を手すりも使わず自力で降りていた。とりあえず、再入院はしていないことだけは確認できた。

 ヤクルト時代から野村の側近であるM氏が近況をこう語る。
 「'14年の退院後から、すこぶる元気です。確かに、持病である腰痛はかなりひどくて歩くのに苦労していますが、頭の方は冴えていますよ。シンキングベースボールを地でいくように、スポーツ紙やテレビ、雑誌などの取材を受けています。相変わらずサッチー(沙知代夫人)が“働かないと衰える!”とノムさんの尻を叩いていますからね。定期検診のために病院には通院していますが、再発はないと聞いています。深夜のスポーツ番組出演の際は、ノムさん1人で行動しています。テレビ局のスタッフも“腰がふらついて肩をかすことはあるが、コメントは冴えています”と言っていました。孫たちと食事をするときや、家族で過ごすクリスマスなどはサッチーも一緒です」

 野村邸のインターホンを押すと、沙知代夫人が出てきた。一昨年の再入院説を取材した経緯もあり、沙知代夫人から、
 「あんた! また野村の足を引っ張りに来たの!」
 と怒声を浴びたのだが、野村の体調が良好なのか、最後は「元気に仕事をしています」と穏やかであった。

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