「キャンプ初日はブルペン入りしないと言っておきながら、思い立ったように室内で投球練習を始めました。わざわざ報道陣を全員退室させて。松坂をチェックするため、慌てて入室した担当コーチもいました」(前出・現地記者)
球団スタッフは「投球フォームの矯正で気になる点があり、早めに動いた」と前向きに捉えていたが、自主トレ期間中の1月、母校の横浜高校でも一悶着を起こしていた。
「横浜高校のグラウンドで練習していたんです。昨夏で勇退した小倉清一郎元部長が奇しくも同校にいたときで、『誰の許可も取らずに何やってるんだ!?』と怒鳴られていました」(高校野球界の要人)
勝手気ままな行動は、単身赴任で独身に戻ったからか? 松坂は小倉氏の勇退謝恩パーティーにはきちんと顔を出しており(昨12月19日)、在校中にお世話になったお礼を述べていた。
「小倉氏、渡辺元智横浜高校監督とは、メジャー移籍後も連絡を取り合っていました」(同)
恩師たちも、高校時代とは別人のような投球フォームの乱れは気にしていたという。アドバイスを送ることもあったが、「わかっているけど、(右肘が)上げたくても上げられないんです」と、松坂は“泣き”を入れていたそうだ。恩師の前で、思わず出てしまったホンネだろう。
「メジャーのマウンドは硬いのでスパイクの歯が刺さらず、下半身に力が入らない。だから、上半身の力だけで投げる悪癖が付いてしまい、右肘にメスを入れる結果となりました。今も上半身の力だけで投げようとするから、右肘が下がってしまうんです」(ライバル球団スコアラー)
矯正を託された佐藤コーチはダルビッシュ、田中将大を育てた名伯楽。だが、両投手とも「メジャーのマウンドがどうの…」という文句は言ったことがない。工藤監督も30代半ばで不振に陥り、再び這い上がった経験がある。
「松坂にとっては最大の理解者ですが、マイペース調整を許して結果が伴わなければバッサリですよ。それがベテランの宿命」(前出・現地記者)
王貞治会長は復活を信じてやまない。王会長が“勝算”なら、獲得にゴーサインを出した孫正義オーナーは“商算”だろう。松坂獲得で集客アップが見込めるからだ。事実、ホークス職員は松坂の取材調整に追われている。
一方、松坂の全てを知っていると言っても過言ではない埼玉西武の田辺監督、千葉ロッテの伊東監督は、復活に悲観的だという。
“凱旋失敗”と“別居状態”が重なってヤケを起こさなければいいが…。