フジは7年連続“年間視聴率三冠王”の座を維持してきたが、5年前に日本テレビにその座を奪われた。以降、視聴率は落ち続け、奪回の旗手として白羽の矢が立ったのが、その昔“トレンディードラマ”のヒットを連発した大多氏だった。
「当時は亀山氏と大多氏がフジの親会社『フジ・メディア・ホールディングス』の常務に昇進していたことから、次期社長の座は2人の争いと言われていた。しかも、局の核となる番組制作・編成の実権を握った大多氏が、一歩リードしていたんです」(フジ系列の制作会社スタッフ)
ところが、かつて高視聴率を取った『料理の鉄人』をリメイクした『アイアンシェフ』を始め、大多氏が手掛けた番組が次々に失敗。自らコケたことで亀山氏に社長の座を奪われた。
「しかし、亀山氏の社長就任後も、低視聴率に歯止めがかからず、赤字に転落した。6月の株主総会では、7月からのドラマに賭けると意気込みを語っていたが、起死回生策として起用した松嶋菜々子主演のドラマ『営業部長 吉良奈津子』も大コケ。いつ責任を取って辞任してもおかしくない状態が続いている」(フジ関係者)
そこで再浮上し始めているのが、大多氏だという。
「ここへ来て『ポケモンGO』の空前の大ヒットにより状況は一変した。というのも、『ポケモンGO』の開発は、昨年8月に『Google』から独立し、任天堂が32%の株式を保有する米ゲーム開発会社の『ナイアンティック』。同社は今年2月に約5億3000万円の第三者割当増資を行ったのですが、そのほとんどを引き受けたのがフジだった。ナ社が上場すれば莫大な含み益が期待できる。この投資を進めたのが大多氏らとされ、不振から脱却できるチャンスを呼び込んだのと同時に、経営手腕が買われ、一気に社長レースに加わることになったんです」(兜町関係者)
人事刷新できるか。