当時、週刊現代はじめ、浜岡原発の大災害シミュレーションをやっていた。それらをまとめると、おおよそ以下のような感じである。
放射能は、4m/s(秒速4m)で風下に向かう。よって甚大な場合、200kmくらいだと計算上10数時間後には東京まで“死の灰”が来るからご参考に、というわけである。(なお詳しくは、放射能は、雲のようにまとまり移動しながら、距離によって濃度が薄まっていくことを、今回国民は学習済みであるわけだが)
いっぽう、その被害エリアについては、周辺の牧之原市や掛川市あたりに急性死等の甚大な被害がある、という報道が多かった。そして浜岡になぞらえて、刈羽原発では刈羽村と柏崎市あたりが一番まずいだろう、ということであった。
しかしここでも重要なのは、こういった地域の住民避難は既に済んでいるので、従来のシミュレーションの最も重要な部分は今回の場合、おおよそ回避している、という点だろう。
順次、遠い地域の被害描写についても、諸報道は、相当おどろおどろしい説明をしている。
これについては、直接命に関わる線量ではない線量の問題なら、積年影響の問題をごっちゃにして書くのは本来ならフェアではなかろう、という感想を持つ。これも我々が、今学習しつつあるところであろうか。(なお、前出の現代さん、またニューズウィーク日本語版さんといったところは、そういう誤解も無く、特に充実した内容であったがゆえに言及)
最悪の事態について考えたくは無い。しかし基本的に、政府からの事前・迅速な退避命令により、国民皆が無事に整然と避難を完了することが出来る、と思われる。
あとはいわゆる<正しく怖がる事>、すなわち、過も不足も無く正しい知識を持つこと、が非常に重要なのではないだろうか。(仙道哲夫 ライター)