新横綱だった先場所は終盤5連敗した上、9勝6敗と散々な成績に終わり、場所後、横審から、「横綱がひとケタはダメ。もし今度もひとケタなら引退だ!」と厳しい叱責を受けた。その後、この引退勧告は 「そういう力士を横綱に推挙した責任はどうなる」との反発が起き、一番軽いペナルティーの“激励”に緩和された。しかし、初場所初日が白星発進とはいえ、厳しい状況には変わりがないのだ。
場所前の日馬富士は、昨年末も大晦日まで稽古場に下り、黙々と汗を流していたが、内心、不安でしょうがないのは確か。それが如実に出たのが、飛び入り参加した8日の二所ノ関一門の連合稽古だった。
「稀勢の里との三番稽古(同じ相手と続けてやる稽古のこと)でタブーの顔面攻撃をしたり、すでに土俵を割っているのに引っ張りこんで投げようとしたり、ダメ押しをしたり、まさに好き放題。見かねた審判副部長の松ケ根親方(元大関若島津)が叱責する場面もありました。番付上位の者は、よく稽古場で叩きつけて恐怖感を植え付けようとするんですが、あれはちょっとやり過ぎ。それだけ汚名返上に必死だったんでしょうね」(担当記者)
もし反則スレスレの荒っぽい相撲を封印すればどうなるか。この翌日、一転して優等生相撲で同じ稀勢の里に挑んだが、なんと6連敗し、地団太踏んで悔しがっていたところを見ればよくわかる。
これほど結果が歴然としているため、本番では張り手やダメ押しなど横審も禁じている相撲を取るのは確実と見られているのだ。
「いまの日馬富士は品格よりも勝ち星優先。問題はいつ、誰を相手にやるかですが、前半、一発やってみんなをビビらすことも考えられます」(協会関係者)
いつ“張る”か見ものの日馬富士。