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コンピューターゲームの20世紀 第11回…『ラグランジュポイント』

 <読者のアイデアが採用されたRPG>
 1991年に発売された『ラグランジュポイント』は、日本初のファミコン専門攻略誌「ファミリーコンピュータMagazine(通称ファミマガ)」の100号を記念した「芸夢工房」という企画から誕生したゲームである。
 この企画では読者からストーリーや音楽に至るまで様々なアイデアを募集。実際にゲームロゴなど、そのうちの幾つかが採用された。
 ゲームは昔ながらのSF設定で、コロニー、サテライトベースなど、特に30代以上のオッサン達にはたまらない言葉がズラッと並ぶ。しかし、ストーリーはなかなか良かったが、肝心のゲーム内容がちょっと残念。比較的オーソドックスなRPGなのにバランスやテンポが悪いのである。
 武器合成など当時としては目新しい要素も幾つか搭載されていたのだが、それらが逆に煩わしく感じたり…。当時プレイしていてそう感じたのだから、オッサンになった今プレイするのはかなりしんどい。
 大体、コナミのRPGで面白いと思ったことはただの一度もないのだ。まあ、こればかりは個人の好みの問題もあるので仕方のない部分だと思う。ただ、幾つかのゲームはシステム周りやゲームバランスの改善でかなり違った印象になりそうなので、ラグランジュポイントや『魍魎戦記MADARA』シリーズがリメイクされないかなと密かに期待しているのだが。

 <ファミコンとはとても思えない音に感動したものの…>
 さて、今回ラグランジュポイントを取り上げたのは、別にコナミを批判するためではない。というわけでここからが本題。当時のコナミは音作りに定評があり、筆者はコナミのサウンドチームである「コナミ矩形波倶楽部」が手がける素晴らしいコナミサウンドの数々を目当てに、ゲームを購入していたというフシがある。
 当時のゲーム音楽は今と違って常にハードの制約との戦いである(だからこそ面白いのだが)。ファミコンの場合、「矩形波2音、三角波1音、DPCM1音」という貧弱な構成だが、FM音源同様にメーカーや作曲者の力の差が如実に現れるので面白かった。
 たとえばファミコンのデフォルト音源でも、よく聴くと「ああ、このドラムはカプコンだな」等、メーカーによって色々な違いがあることが分かる。
 筆者がファミコン音源の使い方(作曲ではなく)で気に入っていたのがサンソフトとコナミだ。特にコナミは音に対する情熱が並大抵のものではなく、『悪魔城伝説』で初めて採用されたVRC6(Virtual Rom Controller 6)という特殊チップは、グラフィックだけでなくサウンドを大幅に向上させることも目的としていた。技術的な話は避けるが、要するによりメロディアスなサウンドを奏でることが可能となったのである。ゲームそっちのけでひたすらサウンドモードを鳴らしていたのも良い思いだ。
 さらにコナミは上位版のVRC7を投入。これにより、ファミコン(ディスクシステム除く)はついにFM音源を手に入れることとなる。従来のピコピコ音とは明らかに異なる澄みきったそのサウンドを初めて耳にした時は、「アーケードやパソコンのFM音源とはちょっと違うけど、これはこれで味があっていい!」と感動したものだが、ゲームをプレイしているうちに段々と違和感を覚え、何とも複雑な気持ちになってしまった。やはりファミコンにはチープなあのピコピコ音がよく似合うのだと、その時ようやく気がついたのである。
 ゲームミュージック好きとしてVRC7のサウンドはとても気に入っているし、実際もっと聴いてみたかった気持ちもある。だが、コスト面の問題やSFCの登場の影響等があったのだろう。結局、ラグランジュポイントが唯一無二の存在となってしまったのは残念でならない。(内田@ゲイム脳)

(C)KONAMI 1991

DATA
発売日…1991年4月26日
メーカー…コナミ
ジャンル…RPG
ハード…ファミコン

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