また、'08〜'10年に診断された人の「5年生存率」は67・9%。いずれも90年代後半から伸び続けており、早期発見や治療の技術進歩が貢献しているという。
「驚くべきは、早期の前立腺がんなら10年生存率が9割を超え、5年生存率に至っては100%となっていることです。甲状腺がんや乳がんも10年では8割以上、5年では9割以上です。われわれが持っている“がんは死の病”という認識は改めたほうがよさそうです」(医療ジャーナリスト)
とはいえ、部位別に見ると胆のう胆道がん(16・2%)、肝臓がん(14・6%)、膵臓(すいぞう)がん(5.4%=いずれも10年生存率)などは生存率が低く、注意が必要だ。
国立がん研究センターの若尾文彦がん対策情報センター長は、こう言っている。
「がんの種類によって再発のリスクなどは異なる。状況に応じて長期に経過をみる必要があることを知ってほしい」
さらに早期発見されるほど生存率は高い傾向にあり、定期的な検診の重要性を呼びかけている。前出の医療ジャーナリストが続ける。
「胃がんなどは早期の『1期』で発見された場合、5年生存率は97・4%と極めて高い。しかし、他の部位に転移した『4期』では6.9%にまで下がります。とくに注意が必要なのは、定年後のサラリーマン。それまでは会社で、毎年、健康診断を受けていたのに、それがなくなり、数年後に体調不良で病院に行くと、がんが進行していたというケースが多いんです」
山梨大学医学部名誉教授の田村康二氏が言う。
「早期発見さえできれば、がんで死ぬ人が減り、90歳や100歳まで、当たり前のように生きる人が増えてくるでしょう」