同社は2010年12月、中国の巨大市場で“日の丸パワー”を見せつけようと瀋陽店をオープン、「'13年度までに5店を出店する」とぶち上げ、次いで'11年6月に天津店を、さらにその余勢を駆って南京店を出店した。しかし、その南京店がわずか1年2カ月で閉鎖となれば、鳴り物入りで進出した中国事業が一気に頓挫しかねない。この期に及んでも会社側は「瀋陽、天津は営業を続ける」と強調するが、それとても怪しい限りだ。
「南京店が白旗を掲げたのは、尖閣問題での反日ムードの高まりで商売にならなくなったことが最大の原因です。これが瀋陽、天津に波及しないわけがありません」(関係者)
次いで国内である。家電エコポイントと地デジ化に伴う需要先食いの反動は以前から指摘されてきたとはいえ、現実のボディーブローは深刻。今年3月期の業績見通しの大幅な下方修正を余儀なくされ、市場には「このままだと経営の屋台骨が揺るぎかねない」との警戒心が急浮上した。危機感をあらわにした同社は山田昇会長の5年ぶりの社長復帰を発表し、オーナー自ら陣頭指揮を執って業績の建て直しを図ろうという、まさに非常事態なのだ。
折も折、電子情報技術産業協会が発表した2012年度のデジタル家電の国内出荷額は、前年度比42.5%減の1兆4794億円で、過去最低の水準だった。
特需が残した傷跡はあまりにも深い。“ガリバー”ヤマダが直面した危うい前途が、日の丸家電の行く末を暗示しているようだ。