「場所前の稽古で右手の小指を骨折していた白鵬は、初日の北勝富士戦に敗れ、2日目から休場してしまいました。場所前に日本国籍を取得するなど、引退に向けての準備も加速させていますから、いよいよ現役最晩年という感じです。鶴竜は序盤に4連勝したが、5日目から3日連続で金星を献上し、たまらず休場。こちらも明らかにピークをすぎています」(担当記者)
今場所前半、土俵を支えたのは、右ひざのけがで史上最短の2場所で大関から陥落したばかりの貴景勝(23)だ。今場所から場所入りの際は黒の染め抜きを着用。背中には上杉謙信の軍旗「龍」の字を入れた。
今場所で10勝以上すると大関に復帰できるとあって、初日から5連勝。NHKやスポーツ新聞は、まるで優勝でもしたかのような大騒ぎだった。
これに拍車をかけたのが、貴景勝の強気一辺倒、聞きようによっては「人を食ったような発言」。5日目に北勝富士を土俵際で突き落として逆転勝ちすると、ニコリともせずにこう答えた。
「(相撲内容は)いいといえばいい、悪いといえば悪い。勝ったからといって、このぐらいで喜んではいられない」
問題は終盤。なにしろ場所前、関取と稽古したのはたった3日間、15番だけ。これでは後半の動きやスタミナに不安が残る。
実際、貴景勝は6日目と7日目に連敗を喫し、「まだまだ自分は弱い」と珍しくため息をついていた。
「それより心配なのは、師匠との関係ですよ。貴景勝はいまだに元貴乃花親方の弟子気分。先場所前の大関昇進パーティーのご祝儀、2700万円を部屋に渡さずに持ち帰ったように、師匠の千賀ノ浦親方(元小結隆三杉)と打ち解けていません。今のような大事な時ほど、師匠の支えや部屋のバックアップが必要になるはずなんですが…」(一門関係者)
貴景勝は、今場所何とか大関復帰の条件の10勝をクリアしたが、苦手とする高安、御嶽海、栃煌山など難敵がこれからも大関潰しにかかってくる。