経済産業省は3月19日、工場や発電所などへのサイバー攻撃に対する防御力を検証する施設を、宮城県多賀城市に来年3月までに設置すると発表した。工場の生産管理などを行う「制御システム」に、コンピューターウイルスで模擬的な攻撃を与え、セキュリティー対策が十分かどうかを確認するのが狙いだという。
「米国などは、サイバーアタックは戦争を仕掛けられたのと同じと見なしているが、日本では他国の攻撃からの自衛=攻撃能力など皆無と言ってよく、やっと研究を始めたレベル。主要国の中であらゆる面で最弱です」(軍事ジャーナリスト)
犯罪対策としては、警察庁や各県警本部が特別対策室を設けて捜査を行っている。自衛隊も攻撃能力を有する陸海空統合部隊の『サイバー空間防衛隊』を発足させており、一見備えは万全のように見えるが、その実はバラバラなのだという。
「宮城県に建てる施設は、米国系セキュリティー大手のシマンテック、トレンドマイクロ、マカフィー3社と情報処理推進機構、経産省が2年前に設立したセキュリティー普及促進委員会が、サイバー犯罪に対する『演習』を実施するためにようやく新設するものですが、いかにもムダで今さらな感じが否めません。『新たな天下り先を作りたいだけ』という声も聞かれます」(官庁担当デスク)
しかも、セキュリティーにおける最大の脅威は、内部の人間によるものというのが常識。スパイ防止法のない日本は、その点でもユルいと言わざるを得ない。
美人工作員の色仕掛けにも弱そうな日本の政治家や官僚にも、がっちりセキュリティーが必要だ。