レスリング対柔道。まさしく異種格闘技式の練習法だが、日本柔道界では近年定着した光景だ。ロンドン五輪後に井上康生氏が柔道男子代表監督に就任してから、「海外選手の柔道=立ちレスリング」なる対策案が定着。国際試合前、レスリングやサンボの選手とも稽古をするのだという。
しかし、相手が悪かった。レジェンド吉田が女子柔道に関わったとなれば、東京五輪にも影響してくる。
「阿部は東京五輪の金メダル候補の1人です。吉田はレスリングだけでなく柔道にも関わり、かつメダル候補とも練習したとなれば、五輪競技を中継するテレビ各局の扱い方も違ってきます」(放送関係者)
吉田は東京五輪の有力なテレビ解説者の1人である。オリンピックのテレビ中継は各競技のOBが解説者を務めるのが通例となっており、知名度の高い元アスリートが現地レポートや出場選手の人となりを語っている。テレビ中継には欠かせない存在だが、東京五輪に向け、そんな候補者はゴマンと控えている。
吉田はもちろん、水泳の北島康介や寺川綾、ハンマー投げの室伏広治、卓球の福原愛、ビーチバレーの浅尾美和ほか、マラソン解説には実績のある増田明美がいるが、金メダリスト・野口みずきも無視できない。また、冬季種目だが、浅田真央もいる。その浅田を起用するなら、先輩・荒川静香も使わないわけにはいかない。解説席は賑やかになりそうだが、視聴者側にすれば、“あの人はいま”だ。
「OBやOGを起用するのは、出場選手の取材を確実に成立させるためです。ハッキリ言って、解説が務まらない口ベタなOB・OGもいますから、元選手やタレントにサポートさせるのはそのためです」(同)
近年、有名どころがこぞって引退したせいか、「あまり声を掛け過ぎるな」という現場指示も出たそうだ。
仁義なき椅子取りゲームは始まっている。