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体内毒素が致命傷を招く 肝がんリスクも高まる「便秘」を侮るな!(2)

 人間の腸の中には、普通の人でも日常排泄される便以外の“宿便”を、3〜5kg持っているとされる。この量を聞いて驚く人も多いのではないだろうか。
 東京多摩総合医療センターの循環器内科の担当医はこう言う。
 「我々医者は、宿便という言葉は本来使いません。近い意味では“滞留便”があります。胃や腸の働きが、生活習慣や食事内容の乱れなどが原因で便が停滞して、腸の蠕動運動(ぜんどううんどう)が弱まります。すると、便が腸の中を前に進まなくなり、肛門から出す排泄便が詰まる。これが滞留便であり、“便秘”という表現になります。ですから、便秘になるとかなりの量の便が溜まっていることになりますね」

 厄介なのは、この排泄されない停滞便が、腸内の悪玉菌を増やし、いわゆるオナラも発生させる点。オナラは尻から出るだけではなく、腸から血液に吸収され、肺に送られ、「口臭」として発せられるほか、皮膚から染み出ると「体臭」となってあらわれるというからビックリする。

 滞留便が増え、便秘となると、前述しているように肝臓などへの負担が大きくなる。
 肝臓は体の右側の肋骨の中に納まっている体内で最大な臓器だ。主な役割は、栄養素の加工と貯蔵、解毒、胆汁分泌、血液の貯蔵と循環、水分代謝の調整、体温保持など生命活動に欠かせない重要な働きをしているのだ。
 少々の障害では症状も表われないタフな臓器で、物質のすべてを解毒する“沈黙の臓器”といわれる。しかし一方、最近は肝臓障害による死亡率が上昇しているといわれるのも事実。原因は、肝硬変となるウイルス性肝炎やアルコール性肝炎が激増しているほか、ストレスの増大も大きく影響している。

 そんな疲れ果てている肝臓に、さらに追い打ちをかけようとするのが、体内毒素のもとになる便秘症。肝臓障害の終着駅である肝硬変に陥り、肝細胞の再生が不可能となる。
 その流れは、(1)便秘のための腸内発酵で生じる毒素が体外に排出されない。(2)滞留便による毒素が腸粘膜より吸収されてしまう。(3)下腹部に冷えがあると、腸内細菌叢(さいきそう)が悪玉菌優位となり、悪玉菌の出す毒素が大量に門脈(胃や大腸、すい臓、脾臓などで吸収されたものを運ぶ特殊な血管)から肝臓に入ってしまう。
 こうして肝臓の働きが低下し、毒素の処理能力が落ちてしまい、毒素が静脈血に入って全身の細胞代謝に傷害を引き起こすのである。

 では、便秘はどう防げばいいのか。滞留便を少なくするにはどんな点に気を付けるべきか。
 新潟医大の元管理栄養士で料理研究家、林康子氏は次のように説明する。
 「やはり、食事量を制限し肥満の人は改善に努める必要があります。加えて食物繊維の摂取が大事です。それに“ビタミンの貯蔵庫”ともいわれる肝臓の機能が低下すると、ビタミン不足になり易い。ビタミンと繊維質を同時に摂れるミカン、リンゴなどの果物を毎日食べることは、便秘防止と肝機能向上の一石二鳥に繋がる有効な手段です」

 さらに便秘と脂肪肝の両方を防ぐ近道は、やはり運動だ。特にウオーキングは有効で、腸を刺激し、便通を促す腸の蠕動を活発にするという。
 一方、アルコールは腸を刺激し、排便を促す効果もあるが、逆に肝臓に負担をかけ肝機能の低下にもつながるので、専門家は否定する。便をコントロールすることは肝臓を守り、健康を保つことになるのである。

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