同シングルは選抜メンバーが9名という異例の少なさ。今回の選抜はダンスに評価が高いメンバーが選ばれている。また、山本彩、渡辺美優紀と同グループの“顔”ともいえる二人は選ばれたが、これまで選抜常連であった多くのメンバーが外れた。そして、選抜から長い期間離れていた岸野里香、木下春奈が復帰した。
そんな中、注目されているのが今回のシングルで初選抜となった石田優美だ。石田は2期生としてNMB48に加入。彼女がこれまでもっとも話題になったのが、加入当初の自身の13歳の生誕祭で、握手会の彼女のレーンに一人もファンが来なかったことが、母親からの手紙で明らかになったことだ。
母親からの手紙によると、握手会後に母親が駅まで迎えにいくと、石田は、「お客さんが一人も来なかってん」と涙をこらえながら笑顔で語り、「でもな、スタッフさんの方が可哀想やってん。人が来ないから一緒にいるスタッフさんが仕事が無くて」と答えたという。ただ、当時のブログには、「めっちゃ緊張しました〜来て下さったみなさん、ありがとうございました。明日の握手会も楽しみです」などと綴っており、表向きにはその現状を隠していた。後に石田は、インタビューで、「他の2期生のところにはたくさん人が来ていたり。でも、アイドルにならなきゃよかったとは思わなかったです。わたしの努力が足りないんだ、頑張ればきっと私の方を向いてくれるはずだと思いました」とも語っている。
そんな石田の苦難はその後も続く。1期生と2期生からチームMが結成されるが、そのメンバーに選ばれなかった。さらにその後に結成されたチームBIIにも加入することができず、正規メンバーに昇格できたのは、今年の2月であった。
加入当初から、決して恵まれた環境とはいえなかった石田。しかし、今回の13枚目のシングルでは、9名という今までよりも人数が少ない中での選抜入りを果たした。自身のツイッターでも、「皆さん! 今回の13thシングル選抜メンバーに入る事出来ました 長かったこの4年間諦めなくて本当に良かったです…涙。ずっと支えて下さった皆さん! ありがとうございます」と喜びを爆発させ、さらに、「沢山のおめでとうメッセージをありがとうございました! 私の選抜入りを涙流して喜んでくれた方々な沢山いたみたいで、それだけでも頑張って来て良かった! って思いました!泣 言わせて下さい! たかみなさん! 私、報われました!!」とも綴っている。
数少ない日の当たるメンバーの裏で、恵まれない環境で必死に努力するメンバーが多く存在するAKB48グループ。今回の石田の選抜入りは、グループの多くのメンバーに夢と希望を与える結果となったことだろう。