「イチローとオリックスはいまも良好な関係にあります。少なくとも、オリックスはそう思っていますし、イチローも否定しないでしょう。というのも、シーズンオフの間、12球団は所有の練習施設を無償開放しますが、それはNPB選手に対してであって、日本人メジャーリーガーが使用する場合は色々な手続きが必要なんです。オリックスはこの難しい手続きもサポートしていますので」(ベテラン記者)
メジャーリーグにおいて、移籍後のワールドシリーズ出場など制限を受けないトレード期限は7月末まで。それ以降も移籍はできるし、イチロー獲得に名乗りを上げる米球団がなければ、ヤンキースでプレーすることも可能だ。しかし、忘れてはならないのは契約期間のことだ。イチローとヤンキースの2年契約は今季で切れる。今回のウェーバー公示は、「年俸約650万ドル(約6億5000万円)のベテランと再契約しない」というメッセージとも解釈されている。
「俊足の外野手を欲している米球団は少なくありません」(現地特派記者)
今回のウェーバーに乗じれば、イチローを獲得する米球団は高額年俸の残りシーズン分を引き継ぐことになる。その金銭面が足枷となり、シーズン終了まではヤンキースでプレーする、というのが大方の見方だが来季は違う…。
「イチローに対しては、巨人も強い関心を持っています。日本に帰還する可能性は決して高くありませんが、オリックスが『話をしたい』と言えば、無下にはしないでしょう」(プロ野球解説者)
オリックスの宮内義彦オーナーはメジャーリーグ志向も強い。外国人監督の招聘に強い関心を持っていた時期もあり、今季はペナントレースでソフトバンクとの一騎討ちを展開している。来季以降も確実にAクラスに食い込むチーム力を維持するため、さらなる補強に乗り出すという。森脇浩司監督(54)の手腕も高く評価しているが、野茂英雄、田口壮両氏など、OBでもある元日本人メジャーリーガーとの接触もあり得ない話ではないとされている。
ここに“イチロー帰還”の一報が加われば、オリックスは球界における強い影響力を誇示することにもなる。
「イチローを口説く材料として、兼任監督も面白いかもしれません。イチローはWBCで強いリーダーシップを見せてきましたし、現役選手にプラスアルファーの条件があれば、日本球界に帰還してもプライドは傷つきません。むしろ、ステータスは上がります」(前出関係者)
マネーゲームならともかく、兼任監督の条件はオリックスにはしか出せない。いずれにせよ、今オフの野球ニュースはイチローの去就問題に占拠されそうである。