さらに、祖父や叔父に元横綱を持つ“角界のサラブレッド”たちの目覚めという波もある。
「現在、横綱の縁者と言えば、“猛牛”と呼ばれた横綱・琴桜を祖父に、関脇・琴ノ若を父に持つ『琴鎌谷』改め琴ノ若(佐渡ヶ嶽)と、モンゴル人初の横綱・朝青龍の甥にあたる豊昇龍(立浪)、“昭和の大横綱”大鵬の孫で、元関脇・貴闘力の次男・納谷(大嶽)の3人です。いずれも『末は大関、横綱間違いなし』と期待されているピカピカの逸材ばかりですよ」(担当記者)
この夏場所後、他の2人に比べて入門が2年早かった21歳の琴ノ若が、ついに十両昇進を決めた。
「やっと師匠(父の佐渡ヶ嶽親方)や、先代師匠(祖父の琴桜)に追いつくスタートラインにつけた。この(父の)四股名に恥じぬようにしっかり精進したい」(琴ノ若)
他の2人の十両昇進も時間の問題。この夏場所、豊昇龍は西幕下4枚目で4勝3敗と勝ち越して入門以来の連続勝ち越し記録を8に伸ばし、東幕下22枚目の納谷も2場所連続の幕下優勝は逃したものの、6勝1敗と大きく勝ち越した。
次の名古屋場所(7月7日初日)は、2人とも幕下上位の十両昇進圏内に躍進するのは間違いない。早ければ、この秋にも「関取誕生」の朗報が聞けそうだ。
「琴ノ若は189センチ、153キロの大きな体を使った右四つ、寄りの正攻法。豊昇龍は、体は細いものの、叔父を彷彿させる負けん気の強さが光ります。納谷はちょっと出遅れていましたが、大鵬なみのノビノビした相撲で、ここにきて急に伸びている印象ですね。この3人が切磋琢磨し、どこまで出世するのか。いよいよおもしろくなってきましたよ」(前出・担当記者)
夏場所全休の横綱・白鵬や、初優勝の祝福ラッシュに湧く朝乃山も、この“サラブレッド3人”に足元をすくわれかねない。