'13年3月期まで7期連続の最終赤字で債務超過に陥り、経営再建中の御園座。'13年3月期決算は売り上げ42億円、経常利益2億円、最終赤字は13億8000万円となっていた。
「そんな御園座には何度も倒産説が流れたが、このほど事業再生ADRを申請。同時に、名古屋財界が本格的再建に乗り出した」(地元経済誌記者)
再建の骨子だが、8月半ばまでに第三者割当増資を実施。トヨタ自動車グループが約3億円ずつ、中部電力、中日新聞社、中部日本放送などの地元マスコミや有力企業(個人160人も含む)が1億円ずつ出資、31億円の引受先を決めた。
また、メーンの三菱東京UFJ銀行から10億円の融資が決まり、総額約40億円調達のメドがついたのだ。
一方、御園座はすでに積水ハウスに御園座会館の土地、建物を譲渡し、その価格は60億円。
再生計画によると、積水ハウスが土地、施設を買い現在の施設(RC造地下2階地上8階建て延べ2万9756平方メートル)を解体。新規に劇場を併設した分譲マンションを建設する。
御園座は他の劇場で公演を続けながら、積水ハウスが建設したビルの完成後に、劇場部分の所有権を取得する、というものだ。
当初「御園座会館は業務提携の松竹によって買収され、御園座自体も再建される」との情報が流れていたが、実際、再建に当たったのは地元有力企業と積水ハウスで、松竹が直接旗を振ることはなかった。
「やはり松竹の経営も厳しいということでしょう。昨年9月の時点で約3%、第4位の大株主である松竹は、劇場公演の企画、制作などで御園座と連携に踏み切った。だが、今回の決算期では襲名歌舞伎もなく、ヒット演目を送り出すことができなかった。さらに、松竹は有利子負債が1059億円あり、利益剰余金は23億円にすぎない。決して再建に協力できる財務内容ではなかったのです」(地元一般紙記者)
御園座再建のメドはついたが、歌舞伎景気があるとはいえ“借金漬け”松竹の立て直しには時間がかりそうだ。
(編集長・黒川誠一)