「日本代表チーム(侍ジャパン)を常設するアイデアも、本をただせばパ・リーグから出たものです。WBCの興行収益を主催国のアメリカに取られてしまう現状に対抗するため、単独興行を行う代表チームを作ろうと提案。この骨格を出したのは、当時、楽天球団の社長だった島田亨氏です」(前出・パ球団職員)
韓国、台湾にも呼び掛ける点だが、パ・リーグには「そのマニュアルもある」という。西武グループにはアイスホッケーのチームがあり、不況で国内リーグを存続できなくなったころ、韓国や台湾など海外のチームとリーグ戦を行っている。ソフトバンク、オリックスなどの本拠地・ドーム球場を試合会場とすれば、天候でタイトスケジュールとなる心配もない。
「ソフトバンクの孫正義オーナーは以前、『野球のクラブチームカップを世界規模で』と語っていた。海外を巻き込んでの興行となれば、広告企業も付くのではないか」(前出・パ職員)
9月5日に開かれたプロ野球オーナー会議では、この新リーグ構想の準備が報告されるとも目されていたが、11月の設立を目指す『侍ジャパン』事業を行う株式会社の事業計画案承認などにとどまった。だが、パ・リーグは今後、臨時理事会を予定しており、交流戦の運営方法を確認しながら新リーグ構想をまとめていくものと思われる。気になるのはセ・リーグの出方だ。
「育成選手を多く抱えている巨人、独立リーグに選手を派遣している広島、新興球団のDeNAも興味を持っていると思う。単独でこのショートリーグ戦に参加したいとなれば、セ6球団の結束にも影響してきます」(前出・ベテラン記者)
交流戦の試合数もそうだが、近年、セとパは後任コミッショナーの人選など重大案件で“抗争”を繰り返している。仮にショートリーグ戦に共鳴するセ球団が一つでも現れれば、勢力バランスは一気に崩壊するだろう。
「侍ジャパン、WBCと並立して行われる国際大会『プレミア12』など、オフの興行イベントが多くなり、パに単独イベントを行う体力が果たしてあるのかどうか。そこが一番のネック」(前出・球界関係者)
事実上の新リーグ構想が提議されたとき、巨人はどう出るのか。セ6球団の結束力が問われる。