しかし、まだ衰えるには早い20代後半の選手までバッサリ切り捨てた“大胆選出”は、新たな火ダネとなってしまったようだ。
「高倉氏がなでしこの監督に選出された後、これまで彼女が指揮してきたU-20の後任人事は発表されませんでした。協会に確認したところ、『しばらくは高倉監督に兼任させる』と。高倉監督はフル代表とU-20の戦術の一本化を目指していくのでは」(専門誌記者)
今回なでしこに選出された選手の最高年齢は28歳。大野忍(32)、川澄穂美(30)、鮫島彩(28)といった主力メンバーが外れ、佐々木繭(23)、高木ひかり(22)、千葉園子(22)、中里優(21)など、高倉監督の指揮下でラ・マンガ国際大会を戦ったU-23の中核選手がフル代表に滑り込んだ人選となった。
「主将を務めた宮間あやは故障のため招集を辞退しました。宮間には故障という大義名分がありますが、大野、川澄らはショックでしょうね。彼女たちはなでしこの主力としての自負も強いので」(同)
彼女たちは代表監督が誰になっても、「チーム再建は自分たちが担っていく」とも考えていた。高倉監督がそれでも招集しなかった理由は、「オバサンだから」のひと言に尽きる。
「経験豊富な大野たちは、たとえばセットプレー一つで勝つこともできる老獪さを持っています。高倉監督が求めているのは計算されたプレーだけではなく、U-23以下で培った技術をそのまま日本代表に持ち込める環境作りのようです」(関係者)
なでしこの世代交代が遅れたのは、老獪なプレーに若手が付いていけなかったから。そのあたりの風通しをよくしようという発想が、選出された代表メンバーに反映されている。