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その他 2015年12月12日 12時00分
【不朽の名作】人の業の深さを感じる「この子の七つのお祝いに」
子供の頃観て強烈な恐怖心を抱いた“トラウマ映画”と呼べる作品を何作か覚えている人も多いことだろう。今回はそんな、トラウマ映画の代名詞のひとつとしてよく知られる1982年公開の『この子の七つのお祝いに』を紹介する。 原作は「第一回横溝正史賞」を受賞した斎藤澪氏の同名小説。というわけで、ジャンルとしてはミステリー映画になるのだろうか。とはいっても『犬神家の一族』や『八つ墓村』といった横溝正史作品の映画のように、ド派手な殺人現場のシーンがあるわけではない。どちらかというと、ホラー的な演出が光る作品だ。しかし『リング』や『呪怨』のように幽霊や怨霊が出てきて怖いという訳でもない。では、なぜこの作品がトラウマ映画として名高いかというと、“人”そのもの恐ろしさを描いているという部分に理由があるのだ。 この作品は岸田今日子演じる真弓が、終戦直後に自分の前から去った元夫に恨みを晴らすため、娘・麻矢に父親を徹底的に憎ませ「お父さんを探し出してきっと復讐してね」と洗脳を施す描写から始まる。このことが、後に娘が大人になった後の殺人事件に関連してくるのだが、この場面の岸田の表情にかなりの凄みがあって、恐怖を感じるほどだ。とにかく病みっぷりが半端ではない。 タイトルにもなっている「この子の七つのお祝いに」は、有名なわらべ歌『通りゃんせ』の一節だが、真弓は娘の七つのお祝いにとんでもないことをしでかす。祝うどころか呪いをかけるのだ。娘が7歳の誕生日を迎えた朝、手首と喉元を掻っ切って自殺するという方法で。それまで徹底的に父親への恨みを植えつけられた、麻矢の人生がこれで決定的となる。姿を消した父親に母親に代わり復讐をする、この目的が最優先となるのだ。この真弓の自殺シーンがまた強烈だ。娘が朝起きると布団が血まみれという状況で、その血の赤と麻矢の晴れ着の振り袖の色彩が暴力的なまでに焼きつく。他にも、シーンの所々で真弓の歌う『通りゃんせ』のわらべ歌のフレーズが響くが、これも呪いの歌にしか聴こえず、背筋が凍りそうな気分を煽る。 作中で取り扱われる事件は、この真弓の自殺の数十年後に発生するマンションの一室で鋭い刃物によって引き裂かれた女性の死体が発見されたことで始まる。推理パートは新聞記者の根津甚八演じる須藤洋史を中心に進む。そこに、須藤に事件を追うきっかけを与えた、杉浦直樹演じる先輩ルポライター・母田耕一や、岩下志麻演じるバーのママ・倉田ゆき子が関わるといった展開だ。 もちろん、作中で発生する殺人事件の犯人の正体は、現在は名前を変えた麻矢なのだが、この辺りの推理要素はあまり重要ではないかと。なぜなら、目立ったトリックなどもないので、普通に話が進んでいくとなんとなく、「この人じゃないかな?」と、かなり簡単に予想がついてしまうからだ。この作品の重要な点はそこではなく、終盤の大きなどんでん返しにある。 このどんでん返しをネタバレしてしまうと、作品の面白味が薄れてしまうので、明かすのは避けるが、この最後のオチこそが、この作品のトラウマを増幅させる要因となっている。推理モノ、特に2時間サスペンスドラマなどで、よく最後に犯人にあやまちを自覚させ、後悔の念を煽るという描写がある。こういったシーンで視聴する側にも、スッキリとした気持ちを提供するのだが、この作品に限っては、最後のオチが、麻矢にとってはどうすることもできない事柄で、復讐鬼としての救いも、後悔も与えられることがない。もう残された道は狂うくらいしかない。それを芦田伸介演じる実の父親である高橋佳哉の口から聞くのだから、さらに救いようがない。おそらく視聴する側も、このどんでん返しにより、自分を捨てた夫への復讐に娘を使ったという真弓の、常軌を逸した行動に、グロなどの直接的な描写を超えた、恐怖とも嫌悪とも違う、なんともいえない人の業の深さを感じることだろう。 基本的にこの作品の中心人物に、“悪人”は出てこない。必然的にそうなってしまった“どうしょうもない人”しかいない。結局事件に関わる全ての人物に、運命のイタズラでそうなった的な描写が用意されており、それは麻矢を洗脳した真弓も捨てた佳哉も同様で、あえて原因を探すなら「当時の過酷な時代が悪い」としか言えない。恐怖心と悲しみを同時に視聴者に与えて、そのままどん底に突き落とす。爽快感は皆無だが、まとわりつくような嫌な気分が、凄まじく印象に残る。まさに、トラウマ映画と呼ぶしかないだろう。こういう後味の悪い、現在風に言えば「鬱展開」が満載の作品もたまにはいいものだ。 この作品は全てのオチを知った後に、2回目を視聴することをオススメする。真弓の計画の周到さがより強調されて、さらに恐ろしいものに感じることだろう。序盤の貧しいアパートのシーンも全く違うものに見えてくる。さらに、復讐鬼となった麻矢が殺人を犯すシーンもなんともいえない虚しさを感じることは確実だ。(斎藤雅道=毎週土曜日に掲載)
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芸能 2015年12月12日 12時00分
テレ東視聴率快挙の人気番組『孤独のグルメ』は旨味たっぷり!
「Season5」に突入した『孤独のグルメ』(テレ東系)の勢いが止まらない。ドラマとグルメバラエティーの中間のようなこの番組が今、20〜40代の間で密かなブームを呼んでいるのだ。 「このシリーズには、黄金のセオリーは何一つ存在しません。中年オヤジ扮する松重豊(52)が1人でぼやきながらひたすら飯を食うだけ。ロケット開発を巡る企業競争も恋愛も、犯人も一切、登場しない。当然、ドラマチックな展開があるわけでもないのに視聴率5%前後をキープしているのです」(放送作家) たかが視聴率5%などと侮ってはいけない。OA放送はなんと夜中の0時12分からなのだ。 「ゴールデン&プライム帯(19時〜23時)に合わせると、視聴率10%近い番組になるんです。フジのドラマ『オトナ女子』や『サイレーン』は視聴率7%前後。これは、とてつもなくすごい数字です」(芸能プロ関係者) 制作費を聞いたら2度ビックリするはずだ。 「『孤独のグルメ』は1本当たり200万円弱。基本、オールロケ。美術セットも必要ない。主演の松重のギャラが35万円〜。他の出演者もエキストラなど含め20万円〜。あとは技術と人件費だけ。実は一番、お金が掛かっているのが、スタッフがロケハンと称して食べて飲みまくる飲食費だなんていう笑えない冗談が飛び交うほど」(テレビ関係者) 最近はDVDや番組連動本が発売され、副収入も途切れずに入って来るという。 さらに映画化企画も俎上に上がり出したという。 「予算は5000万円〜。通常の制作通りにやれば、余裕でお釣が来る計算です」(映画関係者) この『孤独のグルメ』の成功を地団駄踏んでくやしがっているのがフジテレビだ。 「制作はフジの子会社である共同テレビ。'12年にOAが始まるんですが、そもそも、共同のスタッフは一番最初に親であるフジに企画提案をしていたんです。だが当時の編成は、鼻で笑って却下したそうです。採用していればフジがどれだけ助かったか…」(前出・テレビ関係者) 美味しい番組コンテツだ。
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芸能 2015年12月11日 20時00分
どん底のフジテレビ「バイキング」 健康番組にシフトで起死回生を狙う!
不調が続くフジテレビで、その象徴ともいえるのがお昼の時間に放送されている「バイキング」だ。32年続いた長寿番組「笑っていいとも」の後継番組としてはじまった同番組であるが、スタート直後こそ、「低視聴率」でニュースを騒がすこともあったものの、状況はまったく改善せず、最近では話題にすらならない。完全に視聴者から「忘れられた番組」となってしまっている。 打ち切り説が持ち上がっても、もはや誰も驚かない「バイキング」だが、継続されることは、ほぼ既定路線だという。その大きな理由が、メインMCに大抜擢した坂上忍の顔に泥をぬるわけにはいかないということだとか。ただそんなどん底の番組内では、「起死回生の方法を見つけた」と関係者が、なぜか張り切っているというから驚きだ。その起死回生の方法とは、“健康番組”へのシフトだという。 「ありきたりすぎる陳腐な企画ですが、実はこの“健康”が現在、お昼の時間帯は穴場なんです。どうやらここに目をつけたようです」(テレビ局関係者) ゴールデン帯では、健康情報や医者が出演して病気の解説をする番組などが、安定した数字を残しているが、確かに現在、お昼の時間にそのような番組はない。さらに、過去に放送した「バイキング」の中でも、健康をテーマとした時は、若干ではあるものの、視聴率は上昇したとか。そこで、徐々に、健康情報を増やし、来春頃には完全に、“健康番組”へとシフトを完了させるというのだ。 ちなみに、お昼の時間帯で“健康志向”といえば、日本テレビでみのもんたが長きにわたり司会をつとめた「午後は○○おもいッきりテレビ」を思い出す方も多いだろう。1987年から2007年の20年間、主婦から大きな支持を得た同番組だが、今後の「バイキング」は、この「午後は○○おもいッきりテレビ」を、そのまんまマネする勢いで企画が進められているようだ。 当初、「バイキング」は同時間帯に放送されている日本テレビの「ヒルナンデス!」を意識してつくった番組であったが、まったく本家と戦えるような番組とはならず敗北した。今度は、すでに終わっている「午後は○○おもいッきりテレビ」ということのようだ。ただ、「ヒルナンデス!」も「午後は○○おもいッきりテレビ」も日本テレビの番組であるため、フジテレビは完全にオリジナリティは捨て去ったことは間違いないことだろう。 もちろん、テレビ東京にも視聴率競争で敗北したフジテレビが、こんなオリジナリティがまったくない企画で、過去の栄光を取り戻せるとは、とても考えられないというのが、業界関係者の大方の意見である。 フジテレビの迷走は止まるどころか、ますます加速中だ。
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アイドル 2015年12月11日 18時30分
受験生必見! 成績が上がるMVとは? ベイビーレイズJAPAN「走れ、走れ」のMVが公開!
ベイビーレイズJAPANが、新年1月6日に発売するニューシングル「走れ、走れ」のミュージックビデオのショートバージョンがYouTubeで公開された。 12月28日(月)に控えている東京ドームシティホールのワンマンライブは、1か月前の11月28日に全席SOLD OUT。その後、立見・見切れ席を解放するも数日で完売させ、来年の本格的なブレイクに向けて勢いを感じさせる彼女たちのMVは、初のドラマ仕立てとなっている。 将来に対して目標の持てない女子高生が、1人の同級生と関わりを持つ事によって、同じ進学の夢に向かって努力するストーリーだ。 リーダーの傳谷英里香が、「新曲は背中を押すのではなく、一緒に手を取り、寄り添って頑張っていこうという曲です。皆で挑む気持ちを奮い立たせられる歌になれば!」と語っていたように、受験生だけでなく、未来に挑む全ての学生や社会人の背中を押す楽曲となっている。 主人公の勉強に打ち込む姿を見ていると、この曲を聴きながら勉強や仕事をすると、はかどるような気になってくる。なお、ドラマで描かれている主人公の模擬試験の結果は、なんとE判定! ショートバージョンでは、落ち込んだ彼女が友だちの助けによって立ち直るところまでが描かれている。 12月14日(月)の0時には、GYAO!で同MVのフルバージョンが公開される。今後、主人公の彼女が成績を上げていくことが予想されるが、大逆転を果たすのかどうか、要チェックだ。
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レジャー 2015年12月11日 17時30分
チャレンジC(GIII、阪神芝1800メートル、12日)藤川京子のクロスカウンター予想!
阪神11R、チャレンジCは◎フルーキーが昨年2着の雪辱を果たします。 前々走は、マイルのポートアイランドSを1番人気に応えオープン勝ち。今年は重賞を5戦していますが4、3、5、4、5着とすべて掲示板で超堅実。特に阪神は4-1-0-1と得意で、連対の可能性が高まり軸には最適。脚質自在で馬場不問。1800メートルは2勝していて、条件に不足はありません。 最終追い切りでは、相変わらず動きの良さをアピールしており、いい状態でレースに臨めそうです。重賞初制覇を狙います。(11)フルーキー(10)ヒストリカル(14)ワールドエース(9)シャトーブランシュ(16)マコトブリジャール(17)デウスウルト(13)レッドアリオン馬単 (11)(10) (11)(14) (11)(9)3連単 (11)-(10)(14)(9)(16)(17)(13)フルーキー 1頭軸マルチ※出馬表などのデータは、必ずJRA公式発表のものと照合し確認してください。
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芸能 2015年12月11日 17時00分
本番中に泣き出しちゃったNHK山形のお天気お姉さん・岡田みはる ピンチをチャンスに変え、ブレークなるか?
番組本番中に泣き出してしまい、たちまち全国区の有名人となったNHK山形放送局のお天気キャスター・岡田みはる(39)が、12月7日の放送から、無事復帰を果たした。 ハプニングが起きたのは、岡田キャスターが出演する同局の「ニュースやまがた6時」(月〜金曜午後6時10分〜)でのこと。同1日火曜の放送で、岡田キャスターが「現在の鶴岡市の様子を見てみましょう」と原稿を読んだところ、新庄市の映像が映し出されてしまった。岡田キャスターは慌てて、「現在の新庄市の様子です」と言い直した。続いて、気温を伝える文字映像の場面になると、気温を読み上げながら、じょじょに涙声となってしまったのだ。画面が岡田キャスターに切り替わると、約10秒間沈黙し、涙を手でぬぐった。天気予報は続いたが、岡田キャスターの涙声はさらにひどくなり、気まずい空気がスタジオに流れた。 同局は「当初想定していた場所と違う映像が出て、うまくコメントを伝えられずに少し動揺した」と説明。岡田キャスターは翌2日から3日間、番組を休んだが、7日の放送から復帰。「今日から再び気象情報を担当させていただきます。分かりやすく、役に立つ山形県の気象情報をしっかりとお送りしてまいります。引き続きよろしくお願いいたします」とあいさつした。 いかなる理由があろうとも、本番中に泣いてしまっては、プロ失格といわれても仕方あるまい。民放ならともかく、お堅いNHKだけに、降板説もウワサされたが、3日休んだだけで、復帰に至った。続投をアシストしたのは、意外にも同局・籾井勝人会長の発言だったようだ。 3日の定例会見で、籾井会長は、この件に触れ、「NHKのテレビに出演し、司会や天気予報をやるからにはしっかりやってほしいというのは大原則。そういう意味では残念」としながらも、その一方で、「人間ですから間違ったりする。間違ったことについての後処理を、某アナウンサー(有働由美子アナ)のように、つけまつげが落ちてもカバーする度量があれば、うまくいくと思う。若い人で慣れてなくて、間違ったことで、あくせくしたと思う。何があったか分からないが、私は同情的であります」とコメントしたことで、風向きが変わった。 同局としては、責任を取らせるため、降板させたくとも、籾井会長が岡田キャスターに同情的とあっては、やめさせるわけにはいかなくなったのだ。 11月29日付の自身のブログで、「疲れ過ぎて、ご飯が食べられない…」と吐露していただけに、体調不良説も飛び交ったが、取り立てて具合が悪いわけではない様子。 その岡田キャスターは長野県出身で、地元の信州大学を卒業し、さらに早稲田大学に入学。同大在学中は劇団に所属し、卒業後はモデル事務所に所属。ケーブルテレビで天気コーナーを担当したことをきっかけに、天気予報に興味をもつようになり、10年11月に気象予報士試験に合格。11年3月の東日本大震災を機に、防災講座の講師活動をスタートし、現在は健康気象アドバイザーとしても活動している。「ニュースやまがた6時」は今年4月より、担当しており、まさに“遅咲き”のお天気キャスターだ。 女子アナ・ウォッチャーのA氏は、「かつてはモデルの仕事をしていただけあって、なかなかの美貌の持ち主。アラフォーだけに、中高年の男性視聴者から人気が出そうなタイプ。地方局というのが残念ですが、なんらかの形で全国ネットのテレビに出演してほしいものです。バラエティ番組は、虎視たんたんと狙ってくるのでは? 本人の意向次第ですが、中央進出すれば、ブレークもあるかもしれません」と語る。 世の中、何がプラスにはたらくか分からない。本番中に泣いてしまったことで、中央では全く無名だったのに、全国区のお天気お姉さんになってしまった岡田キャッスター。ピンチをチャンスに変え、今後はばたいてほしい。(坂本太郎)
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芸能 2015年12月11日 16時40分
叶美香が退院へ 本人がコメント「皆さんがあたたかく見守ってくださっていたおかげです」
入院中である叶姉妹の妹・美香が、近日中に退院することがわかった。姉・恭子が自身のブログで近況を綴り、美香本人も退院が近いことを明かしている。 恭子は10日に同姉妹のオフィシャルブログを「もうすぐ退院…、わたくしたちの大切な皆さんへ」とのタイトルで更新。「もうすぐ…、もうすぐ、プレシャスな天使の美香さんが帰ってきます。もうちょっとで、退院です」と発表。そして、「皆さん、まっていてくだいね。輝く女神の笑顔でご挨拶させていただきますよ」とも綴っている。 さらに、11日には、美香がブログを更新。「皆さん、ちょっとだけ、痩せてしまいましたが、あせる私(美香)はとても元気になりましたよ。。。皆さんがあたたかく見守ってくださっていたおかげです。ほんとうにいつもありがとうございます」とファンへ感謝の言葉を述べ、「退院の用意をゆっくりしはじめますね。また、ご報告いたします」と退院が近いことを改めて本人が報告した。 叶美香は、急性アナフィラキシーショックのため緊急入院していたことが2日に発表されていた。
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アイドル 2015年12月11日 16時30分
NMB48 小谷里歩と門脇佳奈子の卒業日程が発表
すでに卒業を発表しているアイドルグループ、NMB48の小谷里歩と門脇佳奈子の今後の日程がNMB48の金子剛支配人のGoogle+で発表された。 小谷の卒業公演は2月4日(木)。また同日が最終活動日となる。一方の門脇は2月29日(月)に卒業公演が行われ、同日が最終活動日となる。プレゼント等の受付は二人とも卒業公演の日が最終受付となる。※写真は小谷里歩
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スポーツ 2015年12月11日 16時00分
俺たちの熱狂バトルTheヒストリー〈ファンクスvs最凶悪コンビ〉
力道山&木村政彦vsシャープ兄弟のタッグマッチにより、人気沸騰となった日本のプロレス界。 「そもそもプロレスのリングが今のサイズになったのは、タッグ形式が生まれた20世紀初頭のアメリカで“タッグ戦にはこのくらいの広さが必要だ”ということで決まったもの。つまり、タッグマッチこそが近代プロレスの神髄とも言えるのです」(プロレス研究家) しかし、日本においては“最後の決着は一騎打ち”との武士道的価値観が根強く、どうしてもシングル戦より格下のものと見られがちだった。 日本プロレス末期の'70〜'72年に開催されたNWAタッグリーグ戦も不入りの赤字続き。「タッグリーグ戦はダメ」というのがいつしか定説となっていた。そんな風潮を覆したのが、ジャイアント馬場率いる全日本プロレスが旗揚げ5周年記念として開催した、'77年の『世界オープンタッグ選手権』である。 「日プロのリーグ戦の失敗は、馬場と猪木を別チームに分けたことが大きかった。そのため馬場と鶴田の日本勢トップ2がチームを組み、これと対抗できる強豪チームとしてザ・ファンクスらを集めた。その結果“世界で一番強いタッグチームを決める”という文句に偽りのない、豪華メンバーをそろえたのはまさしく偉業といえるでしょう」(スポーツ紙記者) ブッチャーとシーク、ファンク兄弟はいずれも一枚看板のスター選手。そんなトップどころをセットにするぜいたくさは、この当時、本場アメリカでもなかなか味わえるものではなかった。 さらに馬場の最も大胆かつ革新的な試みとしては、主役に外国人選手を抜擢した点が挙げられよう。シリーズ開幕戦の後楽園ホール、メーンイベントのブッチャー&シークvs馬場&鶴田では、シークによる馬場への急所打ちから、ブッチャーのダイビングエルボードロップでフォール勝ちを収めた後も、最凶悪コンビは執拗に馬場&鶴田をいたぶり続ける。 このとき、救出のためリングに飛び込んだのがテリー・ファンクであった。テリーは最凶悪コンビの返り討ちに合って血だるまにされたものの、日本人を救おうとする外国人の健気な姿は、ファンの心をいっぺんに鷲づかみにした。 「高度なテクニックで評価を得ていたドリーに対し、テリーはNWA王者としての戴冠期間も1年少々と短く、ファンからの印象は薄かった。それが一度の救出劇によって、シリーズの主役になったのです」(同) 公式戦以外でもファンクスとブッチャーらのシングル戦が組まれ、互いの因縁が深まったところで蔵前国技館での最終戦を迎えた。メーンはもちろんファンクスvs最凶悪コンビ。そこまでの星取りでは馬場&鶴田組がトップも、メーンでどちらかが勝てば逆転優勝を果たすことになる。 先に入場したファンクスは、ブッチャー&シークがリングインするや急襲する。試合の主導権を握ったが、ブッチャーの地獄突きから攻守は逆転。そして10分すぎ、シークがテリーの右上腕に凶器攻撃を加えたことから惨劇が始まる。 続いてテリーを襲うブッチャーの右手には、観客の目にもそれと分かるフォークが握られていた。躊躇なくフォークで腕をえぐるブッチャー。おびただしい血がテリーの体を赤く染める。なんとか場外脱出したテリーだが、今度はドリーが捕まってしまう。 エルボースマッシュで凶器ごと吹っ飛ばしても、相手が2人掛かりでは攻勢もそこまで。ブッチャーのエルボードロップをくらい万事休す…。だがそこに、負傷した右腕に包帯を巻いたテリーが復活。最凶悪コンビにサウスポーのパンチを容赦なく叩き込んでいく。国技館は割れんばかりの大歓声に沸いた。 シークがレフェリーのジョー樋口に凶器攻撃を加えたことによる、ファンクスの反則勝ちという結末は、現在の基準なら不透明決着ともなろうが、会場はそれを言わせない圧倒的な多幸感に包まれたのであった。 以後、ファンクスは日本勢を差し置いて全日本の看板スターとなる。そして、この試合が評判を呼び、タッグリーグ戦はプロレス界の冬の風物詩として定着していくことになった。
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アイドル 2015年12月11日 15時00分
乃木坂46「悲しみの忘れ方」Music Videoが公開
今年の夏に公開となった乃木坂46初のドキュメンタリー映画「悲しみの忘れ方〜Documentary of 乃木坂46〜」の主題歌であり、真夏の全国ツアー2015では、本編ラストを飾る楽曲として、乃木坂46の今年の夏を牽引した『悲しみの忘れ方』。 12月23日(水)に発売するMusic Clip集《ALL MV COLLECTION〜あの時の彼女たち〜》に収録される事はすでに発表されているが、今年の乃木坂46の代表曲といっても過言ではないこの楽曲のMusic Videoが公開となった。 「悲しみを乗り越えて前に進む」をコンセプトに、その歌詞の世界を雨が降る世界でのイメージに掛け合わせる事で表現したMusic Video。乃木坂46のメンバーが、雨に打たれずぶ濡れになりながらも、立ち上がっていくメンバーの姿と、歌詞を思いながら歌う姿を映し出した映像作品となっている。