-
トレンド 2011年03月26日 18時00分
「歴史楽屋噺」パート7・福沢諭吉は忠臣蔵が大嫌い!?
「天は人の上に…」で知られる慶應義塾大学創始者の福沢諭吉。一万円札の肖像画になるなど、聖人君子のような存在に昇華されつつあるようだが、人間臭い側面を多分に持っている。 例えば「楠木正成のような人間は、歴史の研究で取り上げるに値しない」といった発言がある。 これを字面だけで捉えると誤解してしまうが、明治維新前後の日本における「漢学」から「洋学」への転換期において、福沢諭吉はこう考えた。 「今までの寺子屋方式ではダメなんだ。そこから脱皮して、ユニバーシティ(西洋型の総合大学)を作らねばならない」 それまで「義侠心」や「侍の象徴」とされてきた楠木正成を切り捨てる事は、苦渋の決断だっただろう。「歴史を人文科学として捉えるのに、『義侠心』というテーマは関係ない」と考えたのだ。 同じように「忠臣蔵の赤穂浪士の仇討ち」に関しても「取り上げる必要はない」と諭吉は判断した。 「『忠』も『義』も人文科学で研究する事ではない」と。 明治維新後の日本の急激な西洋化の影には、このような教育者達の苦渋の決断が沢山あったのである。(みんみん須藤)
-
社会 2011年03月26日 18時00分
大地震におけるデマその1「ツイッターによるデマの発生」
3月11日、関東・東北にこれまでにない巨大地震が襲った。この地震での死者・行方不明者は2万人を超え、今後まだまだ増えていく見込みである。 災害にデマはつきものであるが、関東東北大震災も起こった直後から「デマ」「流言」「虚言」が横行することとなる。 その理由はいくつかある。 ひとつは、あまりにも巨大で広範囲に渡る大地震であったため、当初、政府行政がほとんどのその実態を把握することができなかったからである。 よって政府による発表も、煮え切らない言い方しかできなかった。 政府の発表を聞いた報道関係者も、生放送を観ていた市民も、その煮え切らない物言いに、どうしてもストレスを感じてしまう。そして次にこう思う。 「政府は、何か隠しているのではないか…?」と…。 次に、被害地にいる家族や友人、知り合いなどと連絡を取りたいと思った人々がいっせいに電話をかけて安否を知りたがった。 が…、電話はパンクし被害地とつながらない。 人々は不安になった。 そして、電話はつながらなくても、インターネットは被害のひどい所以外ではつながっていた。 そこで2ちゃんねるや、ツイッター、ミクシィ、フェイスブックといったソーシャルネットワークが人々の情報源となったのだ。 特にツイッターは、これまでにない活発な情報交換の場になったようだ。 2ちゃんねるやツイッターといったネット媒体が、どこよりも、誰よりも早い情報源となって、日本を、世界を駆け巡ることになる。これが21世紀の大災害「関東東北大震災」の特徴であったといえよう。 ツイッターのデマは、地震の直後から起こった。 「若い男が1人暮らしの女性宅に侵入しようとする事件が続発しています。東京杉並区○丁目に住んでいるのですが、ピンポンが鳴って「ガスの点検に来ました」という声が聞こえたのでカーテンの隙間から覗いてみると、耳にピアスのある若い男性が4人立っていました。出ないでいると「チッ」と舌打ちして帰っていきました。1人暮らしをしている女性は気をつけて!」 というツイートが出ていたのが、筆者が見た最初。 コピー&ペーストで、市区町村の違うバージョンが次々と出てきて、一週間後には震災被害地である宮城県にも、同様のツイートがつぶやかれるようになる。 第二次大戦前に、軍と警視庁が実験で、デマがどれぐらいのスピードで広がるかを調べたことがある。その結果では時速約43キロ。つまり当時の汽車のスピードと同じ速さでデマ情報が伝わったということだ。 戦後になってデマ拡散のスピードは、電話や電波のスピードで伝わるようになったというが、今回の例では、東京という被害が少ない場所から、ネットと同じスピードで拡散していったと言えるだろう。 またこのツイートについては、「これはオレの友だちの体験談だからマジ気をつけて!」と、書き加えてあるものが出てきたりもした。 この「独身女性の部屋に男が侵入しようとする」というデマをツイッターや2ちゃんねる等で流したのは、おそらく“善意”の人々であろう。 よって誰かが、この話はデマであると批難しても、流した当人は「万が一本当だったらどうするんだ! たとえデマでも用心して悪いことではない!」と、開き直ってしまう場面もよく見られる。 確かに「独身女性の部屋への侵入」ということは、平常時でもありうることだから用心に越したことではない。しかし、ただでさえ不安になっている一人暮らしの女性の不安を煽っていることも違いはない。 今回の震災では、他にも数多くの「デマ」が表れ、多くの人々が踊らされ、大なり小なりの被害を受けた人も少なくない。次回はそれを検討してみようと思う。(巨椋修(おぐらおさむ) 山口敏太郎事務所)参照 山口敏太郎公式ブログ「妖怪王」http://blog.goo.ne.jp/youkaiou/
-
芸能 2011年03月26日 18時00分
桜塚やっくんが徹底抗戦する理由
酒に酔った女性を乱暴したとして準強姦(ごうかん)の容疑で24日に警視庁に書類送検されたタレント桜塚やっくん(本名・斎藤恭央)だが、25日深夜に本人がブログで「事実無根」と無罪を主張。さらに、同日夜、担当弁護士がマスコミ各社にファクスを送付し同様に否定した。 桜塚が書類送検された情報は24日の夕方に流れたが、同日、桜塚は都内でバンド「美女♂men Vlossom」のメンバーとしてライブに登場していた。 「一報を聞きつけてライブ会場には報道陣が集まったが、桜塚は裏口から車で“逃走”。イベント関係者を通じて『報道は事実。示談は成立している。何で、今の時期(に書類送検)なのか分からない』などとコメントしていたが、翌25日になると一転、容疑も示談していたことも否定した」(ワイドショー関係者) とはいえ、この件をめぐっては、具体的な事件の詳細も漏れ聞こえているという。 「捜査関係者からの情報をとして流れた話をまとめると、事件が起こったのは昨年7月31日の午前3時から5時の間。前日から桜塚は東京・江東区のホテルのスイートルームで被害者とされている有名私大在学中の20代の女性も含めた男女6人ずつの計12人で合コンしていた。合コンを企画したのは被害者の同級生や姉で大いに盛り上がっていたはず。ところが、被害者の女性は警察に『シャンパンを数杯飲んだり、嘔吐したり意識がもうろうとした』、『気がついたら下着が脱がされた状態でベッドの上だった』などベッドルームでセックスを強要されたとして被害届を提出。桜塚は『同意を確認しなかった自分が悪い』と容疑を認め示談したという。さすがに、この話が“ねつ造”されたとは思えないのだが…」(社会部記者) ところが、桜塚の担当弁護士はマスコミ各社にファクスを送り、「容疑を認めたという事実も一切ありませんし、容疑を認めて被害者と示談したという事実もありません」と桜塚本人と同じく事実関係を否定。さらに「このたび誤報道がなされ、当人の名誉は大きく毀損(きそん)されてしまいました。警視庁に対して虚偽の情報漏えいを行った捜査関係者なる者の特定を要請し、特定され次第、捜査関係者に対して法的責任を追及する予定でおります」と法的措置も辞さない構え。同じ書面を警視庁にも送付したというのだ。 あくまでも徹底抗戦の構えをみせる桜塚だが、これには理由があったという。 「桜塚は大手芸能プロを昨年9月末で退社し個人事務所を設立して独立した。ところが、やっていくうちに個人事務所での限界を悟り、再び芸能プロ入りを模索していたところ、ある芸能プロが引き受けることになり、今週中に正式契約を交わす予定だった。ところが、今回の事件で白紙になってしまったため、桜塚にとっての損害も大きい。自らが“シロ”であることを証明して、その事務所と話し合い、再び契約にこぎつけたいのでただじゃ引き下がれない」(芸能記者) 今回の件でがけっぷちに追い込まれた桜塚にとってはタレント生命をかけた戦いとなりそうだが、「そのうち、どこかの週刊誌あたりが被害者の女性をつかまえて事件のことを告白させるだろうが、そうなったらかなり不利な状況に追い込まれるだろう」(同)というだけに、今後の展開が注目される。
-
-
トレンド 2011年03月26日 18時00分
美術家・会田誠さんら選考によるトーキョーワンダーサイトの企画展が再開
トーキョーワンダーサイト主催「第5回・展覧会企画公募」で44企画の応募から選出された3組の美術展が、トーキョーワンダーサイト本郷にて行われている。開催期間は2月26日〜3月27日までの約1カ月間で、入場料は無料。3月11日に発生した東日本大震災の影響で一時中断されたが、3月19日から開催時間を短縮しつつも再開し、3月27日(日)まで行われる。 トーキョーワンダーサイトは、新しい芸術文化を発信するアートセンター。「展覧会企画公募」は企画者=キュレーターを発掘するプロジェクト。クリエーター自身がキュレーターを兼ねることもあり、クリエーター支援・育成の一環である。2月26日(土)のオープニングレセプションでは、審査員である現代美術家・会田誠さんや敏腕キュレーターによる講評や、参加アーティストと観客一同でワインによる乾杯が行われた。 トーキョーワンダーサイトの公式サイトに記載された参加3組の概要を抜粋すると、以下のようになっている。 1F「ELASTIC VIDEO-curated by PLINQUE」 後援:在日オーストリア大使館 文化フォーラム 企画者: クラウディア・ラルヒャー アーティスト:マルクス・ハナカム&ロスヴィータ・シューラー、リディ・シェフクネヒト、アルミン・B・ヴァグナー、クラウディア・ラルヒャー(以上、PLINQUE)クリスティアン・ルシツカ、ザーシャ・ピルカー、ベルンド・オップル、デヤン・カルジェロヴィッチ、マヌエラ・マーク オーストリアのウィーンを拠点に活動する若いアーティスト集団PLINQUE(プリンキ)は主に2008年から断続的に展覧会を行っています。様々な場所で展覧会を開き、それぞれの文脈や設定に合った内容を展開しているPLINQUEが考えるビデオの概念は、動く画像の映写という典型的な形式に束縛されることはありません。それはビデオ・スカルプチャー、サイトスペシフィックなビデオ・モンタージュ、ビデオ・インスタレーションの領域にまで広がるものです。「ELASTIC VIDEO」展は、マルチメディア・アートにおける現在の動向および伝統的手法の各種コンセプトを拡張し、共同のユニークなビデオ・インスタレーション作品を展示します。 2F「floating view “郊外”からうまれるアート」 協賛:株式会社シアーズ 協力:学生メディアセンターなないろちゃんねる 企画者: 佐々木友輔/コーディネーター:中山亜美 アーティスト:佐々木友輔、石塚つばさ、笹川治子、遠藤祐輔、川部良太、ni_ka、田代未来子、清野仁美、渡邉大輔、藤田直哉 ロードサイドに建設されたショッピングモールやファミリーレストラン、立ち並ぶ団地、真新しい一戸建ての家々。日本中至る所で見ることの出来るこうした郊外の風景は、景観の破壊や故郷喪失、地域共同体の欠如など、これまで多くの批判に曝されてきました。しかし今では東京などの大都市でも、郊外都市と見紛うような風景に出くわすことが珍しくありません。グローバリゼーションの進行によって、世界全体が郊外的な環境に覆われようとしています。郊外の問題は誰にとっても切実なものとなりつつあるのです。 本展は、郊外的環境から生まれたアーティスト、そして郊外的環境を自らの手で改変・更新していこうとするアーティストを取り上げた展覧会です。技術革新に任せた楽観論で盲目的に突き進むのでもなければ、戻ることの出来ない過去を礼賛する懐古主義に陥ってしまうのでもない、郊外的環境に生きる私たちの新たな生の在り方を模索するかつてない試みです。 3F「Girlfriends Forever!」 アーティスト:松井えり菜、村上華子、今津景、金森香(シアタープロダクツ)、小平透子、辰野登恵子、津田道子、長井朋子、中村友紀、松原慈、モム&ノエス 美術大学には女性が多いのに、アーティストとして活躍し続ける女性が少ない(ように見える)のはなぜでしょうか? “Girlfriends Forever!”は、若手アーティストの中でもひときわ活躍している松井えり菜('84年生)と、コンセプチュアルな作品で知られる村上華子('84年生)が、同世代の作品を広く紹介するとともに、既に長く活躍しているアーティストも迎えて女性アーティストの来るべき未来像を考えるための展覧会です。 個性的で華やかなイメージのある作家生活ですが、一方で長く制作を続けることは決して楽なことではないことも事実です。本展では、その2つの側面を“Girlfriendsの昼と夜”としてトーキョーワンダーサイト本郷の最上階を女性の部屋に見立てつつ、空間の隅々までアーティストの作品で満たします。壁にかかる絵だけでなく映像や家具まで、アーティストによるキュレーションならではの遊び心満載の空間が期待できます。 それぞれ海外と郊外と体外。海外というのはつまり日本から見て。郊外は東京から見て。体外は自分から見て。実は全て同じかもしれないけれど、距離感が違う。異なる視野を同時に俯瞰することは、トリックに騙されないスーパーフラットな視座の鍛錬になるだろう。なおかつ見ることは見られることでもあり、そこには当然ながら内省も含まれる。 ちなみにこの記事のタイトルに冠した「Kudohting View」とは、2Fで行われている「floating view」出展者の佐々木友輔さんと藤田直哉さん考案によるもの。「floating view」(フローティング・ヴュー/浮遊する景色・眼差し)というタイトルには、ショッピングモールやファミリーレストランで均質化された郊外の景色と、そこに浮遊するアーティストたちの眼差しの、両義性が込められている。 本稿の筆者である工藤伸一から見たセカイと、セカイから見た工藤伸一の両義性を探るべく、通しタイトルとして今後も使っていきたいと考えているので、以後お見知りおきを。ジャアナキストの肩書きも今回初めて使うが、語感がいいなと思っただけで深い意味はない。 さておき、東日本大震災の発生により展示の一時中断に見舞われる異例の事態となってしまった。この状況での再開を受けて思い出すのは、アーティスト・藤城嘘&黒瀬陽平が2008年から行ってきた新機軸の美術展「カオス*ラウンジ」の関連企画で、ストリートコンピューティング周辺のギークをフィーチャーして昨年渋谷で人気を博した「破滅*ラウンジ」が、途中から展示名を「再生*ラウンジ」に変えていたこと。 いま「新機軸」と書いたが、本来なら「新しい」という言葉はあまり不用意に使いたくない。けれども歴史を更新することがポストモダン時代の脱構築であると考えたなら、新しくない現象は一切存在しないともいえる。人間のあらゆる行為は意識するしないに関わらず温故知新の様相を呈する。古いものの影響を受けずに生きることはできないし、新しいものを作らないことも不可能だ。 むしろ古さの中に新しさを発掘し、新しさの中に古さを見出すことにより、時空を超えて歴史がつながる。パラレルワールドへの扉は何気ない日常の景色の物影に潜んでいる。生き残った僕らに出来ることは何か。明日への扉を開く鍵はこの美術展も含む、ありとあらゆる場所に遍在していることだろう。(ジャアナキスト/工藤伸一)関連記事「floating view “郊外”からうまれるアート」※3/26(土)予定だったシンポジウムは中止になりました。http://npn.co.jp/article/detail/48251099/「第5回・展覧会企画公募」公式サイトhttp://www.tokyo-ws.org/hongo/index.html■主催:公益財団法人東京都歴史文化財団 トーキョーワンダーサイト■会場:トーキョーワンダーサイト本郷(東京都文京区本郷2-4-16) 各駅より徒歩7分:御茶ノ水駅・水道橋駅(JR総武線) / 水道橋駅(都営地下鉄三田線) / 御茶ノ水駅・本郷三丁目駅(東京メトロ丸ノ内線) / 本郷三丁目駅(都営地下鉄大江戸線)■開館期間:〜3月27日(日)11:00-17:00[最終入場は30分前まで]■入場料:無料
-
スポーツ 2011年03月26日 18時00分
大相撲八百長問題は見切り処分へ 本場所再開へ前進
大相撲の八百長問題を調査する特別調査委員会が、3月25日、会合を開き、八百長に関与したと認定した力士・親方の処分案を大筋でまとめた。4月1日の次回会合で細部を煮詰め、その内容を踏まえた上で、同日に開かれる日本相撲協会の臨時理事会で処分が決定する。 世間を騒がせた八百長問題は、なんともすっきりしない幕引きへと向かいそうだ。調査委員会では14人の疑惑力士・親方を始め、全関取、一部の関取経験者を対象に、聞き取り調査を行ってきた。しかし、関与を認めたのは元前頭・春日錦の竹縄親方(春日野)、千代白鵬(九重)、仲介役と見られる恵那司(入間川)の3人だけ。関与と認定された清瀬海(北の湖)を始め、他の力士らは八百長関与を否定し続けた。 唯一の物証となり得る携帯電話は、なかなか提出協力が得られず、解析に出されたのはわずか2台。その解析結果が出るのは、4月半ばとなるが、その結果を待たずに処分が下されることになる。参考とされるのは、警察が野球賭博事件で捜査した竹縄親方、千代白鵬の携帯メールの内容と、聞き取り調査の結果のみという根拠がぜい弱なもの。調査委員会の伊藤滋座長は、「たった2台の携帯電話で分かるわけがない。(調査の達成度は)0%。カネをたくさんもらい、1年くらい調査し、警察のような捜査権があればもっとやれた。やれないところで最大限の努力はした」と半ばお手上げ発言。物証がほとんどないことで、処分された力士から訴訟を起こされる可能性も秘めているが、伊藤座長はそれも覚悟の上。 処分を受けるのは20人前後と見られ、処分内容は除名、解雇、出場停止などに分かれる。正直に調査に協力した者には処分の軽減も考慮され、非協力的でクロ認定された者には重い処分が科せられる見通しで、関与力士らの師匠は監督責任を問われる。 放駒理事長は本場所再開の条件として、調査、処分、再発防止策の3点を挙げていた。30日には八百長再発防止策をまとめる大相撲新生委員会が予定されており、4月1日の処分決定で、その3点をクリアすることになる。すでに、内外からは本場所再開を要望する声も上がっている。 日本中を大騒ぎに巻き込んだ八百長問題は、極めてグレーな決着で本場所再開へと進むことになりそうだ。(ジャーナリスト/落合一郎)
-
-
トレンド 2011年03月26日 18時00分
『大切なことはすべて君が教えてくれた』第9話、ホウレンソウが大切
フジテレビの月9ドラマ『大切なことはすべて君が教えてくれた』第9話「最後の授業」が、3月21日に放送された。高校教師の柏木修二(三浦春馬)と上村夏実(戸田恵梨香)、生徒の佐伯ひかり(武井咲)の三角関係が主軸のドラマであるが、今回は夏実がヒロインとして前面に出た。 過去の修二と夏実のカップルは夏実がリードしていた。ひかりを助けたいという修二の思いを尊重するなど、夏実は恋人というよりも修二の母親のような存在にもなっていた。これが恋愛ドラマのヒロインとしての感情移入を難しくしていた。しかし、夏実は別の男性との交際などを経て、修二への思いを再確認する。修二と会う前にウキウキするなど、今回は等身大の恋する女性になっていた。 吹っ切れた夏実と比べると修二には揺れが見られる。部屋を引き払う際に夏実の写真を処分するが、一枚だけポケットにしまう。クライマックスは寝台特急・北斗星の出発のシーンである。ひかりは事故死した姉と向かい合うために旅行に出かける。ホームで見送る修二であったが、話が続いて中々別れられない。夏実と元の鞘に納まることを予想していた視聴者は修二がひかりと一緒に旅行に行ってしまうのではないかヤキモキさせられる。 ひかりは「さよなら」と別れを告げるが、修二はドアが閉まる直前に列車に乗り込む。これは相手から見れば「僕は、あなたが好きだ」と告白するような行為である。実際、次の駅で下車しようとする修二に、ひかりは「もう少し一緒にいてくれない」と頼む。ところが、修二は「夏実と会う約束がある」と答えた。修二は、ひかりに対して優しいが、中途半端な優しさは逆に残酷である。過去にも修二は「女として見ることはできない」と、ひかりを突き放している。 一方で修二は夏実に電話で状況を説明し、夏美も「分かった」と理解を示した。かつて修二は夏実と約束していながら、ひかりを探しに行き、夏実を不安にさせた。それに比べると今回の修二は学習している。ホウレンソウ(報告・連絡・相談)によって人間関係を潤滑にする好例である。 修二の元カノで夏実の親友の東堂さやか(篠田麻里子)も、実体験からマメなコミュニケーションの重要性を夏実にアドバイスした。「明日言おう、そのうち言おうと思っているうちに会えなくなってしまった」と。「大切なこと」が何かはドラマの大きな謎であるが、今回の大切なことはホウレンソウであった。(林田力)
-
トレンド 2011年03月26日 18時00分
信長を考える(2) 『信長』
NHK大河ドラマ『江』が始まってから、テレビ画面に映される織田信長の生き様に惹かれた。『江』は、信長の妹・市の三女だが、信長から「前に進め。そちは生きよ」と言葉をかけられる。のちに、徳川2代将軍秀忠の正室になる。 『信長』(秋山駿)を読んでみた。信長の行動を検証し、信長という人間の本質に迫る評論。野間文芸賞、毎日出版文化賞受賞。 第1章「桶狭間」に、「私は実は、信長が、なぜ義元に勝ってしまうのか、そこのところがよく分からないのである」と書かれている。ナポレオンの戦争の方法を描くスタンダールが「彼の天才は、戦闘において、自分の軍勢を敵より常に到る処で二倍にすることにある」と解説したことを提示して、それは道理だが、「しかし、こんなことに天才が要るだろうか」と疑問する。 秋山は、桶狭間の戦いは、「双方が入念に準備した上での正面衝突」である点を指摘している。よくいわれるところでは、今川軍が弱かったとなるが、秋山はそれを信じない。武田・北条と対抗した今川勢は惰兵ではなく、今川義元は信玄、謙信に先立ち西征の兵を起こした「街道一の弓取り」と呼ばれた点に注目している。そのうえ、「いくら緒戦に勝利したとはいえ、まだ決定的な決戦もなく、居るところはほとんど敵地である。この頃の兵、十年も二十年も戦争について経験しないまでも見聞しているところの兵が、そんなに油断する訳がない」 秋山は、常識が義元を裏切ったと結論する。「信長の戦争という行為への徹底性が、はるかに義元を超えているからだ」 『信長』は、桶狭間の戦いに到達するまでの行動の中に信長の戦争への徹底性を見いだし、今川軍を破り、美濃攻略、安土城の築城、そして、本能寺の変に至るまでの信長の戦争への取り組み方とその変容を描きだしている。また、信長が掲げた「天下布武」の理想は、武力による統一だけではなく、新しい秩序の創造にあったと指摘する。「光秀のクーデターは、創造するもののないクーデターであった。創造性のない行為は最初から死んでいる」 以下、『信長』から、興味を覚えた内容を個条書きする。【桶狭間まで】・14歳で初陣し、27歳で桶狭間の戦いを迎えるまで、信長は一族間での闘争を重ね、戦争を深く省察し熟知した。その熟知と省察は、すべて、自軍に2倍する敵に勝つ方法を発明しなければならない今川との決戦を凝視していた。・信長が作り上げたのは、「先頭を往く信長だけがシンボル」となる「決して降伏することのない、敵に内通するところのない軍隊」。・信長は、参謀本部を必要とするような思考をしない。信長は、自分しかあてにしない。【天下布武】・信長は、本拠を清洲城から、何もない小牧山へ移す。何もない場所へ自分が単身乗り込んで、そこに一つの世界を創る。稲葉山城攻略後は、その地へ移り岐阜と名づける。自分の家、自分の出生地を否定し、自分のいる場所に新しい名前を与えて、新しい都市を建設しようとする。「天下布武」のシンボルは、安土城。・信長が作り上げつつある新体制の中に、自分の居場所を見つけることができない部将たちが出現。松永久秀、荒木村重らの、勝ち目など最初からない謀反が起こる。・安土の繁栄をみて「天下のことは定まった」と満足した部将も多かったのでは。毛利、上杉は、攻められても守るだけ。こちらから手を出さなければ、向こうからは出てこない。念願通り一国の支配者となった部将も多い。しかし、信長は戦争をやめない。・「天下布武」の観念は激烈。嫡子信康切腹に家康が不服なら、武田勝頼と組んで信長に反旗を翻せばよいだけ。家康にはそのくらいの器量はあった。家康が真の大器となったのは、信康切腹を受け入れたのち。・明智光秀の中で、信長が、戦争の天才から、ほとんど「国体」というものをも破壊しかねない政治的独裁者へ変わっていく。また、征夷大将軍になって幕府を開くということをしない信長は、光秀の中では理解不能。光秀は「天下のためにする。そうみずから信じ、信ずるところへ自分の心を駆った」(竹内みちまろ)
-
トレンド 2011年03月26日 18時00分
“イラカワ”キャラの恋愛診断アプリ「あなたの恋愛診断」
10の質問から、恋愛傾向や「あなたに合うタイプ」を診断してくれる恋愛診断診断アプリが「あなたの恋愛診断」(http://itunes.apple.com/jp/app/id423747314)だ。診断メニューは「あなたにあう血液型チェック」、「あなたがハマるダメ恋診断」、「あなたを輝かせる恋人チェック」、「隠れ悪女診断」の4つ。 正直なところ、質問も診断結果も「あぁそうですか〜」って感じでけっこうフツー。でも、たまに「もしかして、当たってる…?」と思うような手厳しい(?)アドバイスが出てきてドキっとすることも…。 ひとりでドキドキしながらやるよりも、「オマエ、嫉妬深さ99%かよ〜!」とかいいながら、友達同士や合コンでやってみると楽しそうだ。もしも、合コンでやるとしたら、気になる子に「隠れ悪女診断」をやってもらおうにしたい(笑)。(谷りんご)
-
トレンド 2011年03月26日 18時00分
うちなんちゅやまとんちゅ〜沖縄身の丈見聞記〜(9)「300年前の空気 〜首里 内金城嶽と大アカギ」
まず始めに、この度の東日本大震災にて被害に遭われた方々に、心よりお見舞い申し上げます。遠方につき直接の支援を差し上げる事が出来ず歯痒いですが、これ以上被害が大きくならないこと、また皆様が一日でも早く元の生活に戻れますよう、祈っております。 本土から沖縄にやってきた筆者が、歴史や事件の舞台を追いかけ、沖縄の独自文化や日々のカルチャーショックのつれづれを綴っていく『沖縄身の丈見聞記』。今回は“地域密着型の聖地”、首里の内金城嶽と大アカギについてです。 独特の宗教観を持ち、自然と一体化した聖地の多い沖縄には、パワースポットとされる場所が多くあります。筆者は所謂流行からくるパワースポットの類は信じていません。が…『ここには確かに、“何か”があるかも知れない』そう思ったのが、この首里の内金城嶽でした。 御嶽(うたき)とは、琉球独自の信仰における祭祀場のことです。ざっくり説明すれば、御嶽は神話の神や土地・祖先神が“おわすところ”。この土地神・祖先神を祀るという性質上、昔は一集落に必ずひとつ御嶽がありました。今でも沖縄の信仰の要となっていますが、色々な理由で破壊されたり、逆に観光地化が激しくなってかつての佇まいを失ってしまった物も多くあります。 ですが、今回の内金城嶽は市街地にある大きな御嶽ながら、古の御嶽の『空気』を今も保ち続けているのです。筆者も斎場御嶽等の有名な御嶽へは行った事がありましたが、ここは特に異質だったと言うか…。何故なら、住宅地のど真ん中なんですよ。この御嶽があるのは。 日本の道百選にも選ばれた『首里金城町石畳道』からの脇道がありますので、ある程度は景観保護の恩恵を受けているのかも知れませんが、そんな所に、いきなり切り取ったかのように静謐な空気と、自然と一体化した神秘的な空間が現れるのです。 この内金城嶽は石門を備えた石垣で囲われています。中央にアカギの大木があり、その下に3個の石が立てられるという形態をとっています。以下は御嶽内の説明文から。 「琉球国由来記等々の文章によると、340年前、豊かな森だったこの辺りを、村人が通る度に霊気に打たれるので、これはただ事ではないと時の王府に願い出て拝所を置き、神々と王府との交流の場となる。王府解体後は、個人信仰にゆだねられている」 神名は、東側の大嶽がカネノ御イベまたはモジヨルキヨノ大神、西側の小獄はイベツカサ御セジ。真壁大阿志母良礼が仕えていたとされています。 『霊気に打たれる』って表現がスゴイ…ですが、御嶽内では確かにそのような空気に圧倒されるのも事実。戦争を越え、当時の聖地を守りながら今に伝えるアカギの大木は、畏ろしくも神々しくありました。 なお、一番大きなアカギにはいつしか自然のほこらが出来、旧暦の6月15日に神様が降りてきて一つだけ願いを叶えてくれる、そうです。 欲張らずに、ひとつだけ。そうすれば、神様が願いを実らせてくれるかも知れません。(黒松三太夫 山口敏太郎事務所)参照 山口敏太郎公式ブログ「妖怪王」http://blog.goo.ne.jp/youkaiou/
-
-
トレンド 2011年03月26日 18時00分
連載ラノベ 夢ごこち(32)
生理に悩まされる三日間は、明かりを消して布団に入ると、天井の木目の芯が、黒く浮き上がってくる。目を閉じると、木目から出てきた闇が、私の方へ落ちてくる。まぶたの裏側で、広がっていく。 そうなると、お腹がへんになる。何かが私の中へ入ってきた感じになって、がまんはするけど、それでも、何かがお腹の中で動き回ることを止めることはできない。じっとしているしかない。 もしかしたら、その三日間は、私の体の中で、怪鳥が巣を作っているのかも。 雲がかすれている。月明かりが浮かんできた。暗雲が、次から次へと横切っていく。暗闇がどこかへ移動しているんだ。 雲に交じって、くちばしが見えた。怪鳥が飛んでいる。 健太君を布団に入れてから、火もとを確認するため土間に下りた。おばあちゃんの家の土間は広い。元栓を見てから居間に上がった。電気を消した。振り向くと、土間の自転車や漬け物の瓶が、みんな暗闇の中に消えていた。天井を横に通してある柱だけ、しなっている所が、白く浮き上がって見えた。 戸締まりも、大丈夫。家じゅうで窓カラスが震えているけど、台風は、まだ来ない。 窓の外は真っ暗だ。けど、あやしいものたちは、この家の中へは入ってこない。玄関にはちゃんとお札がはってあるし、屋根の鬼瓦が空を見張っている。それに、縁の下の柱にも、魔除けの猿が掘られている。 離れに戻ると、蚊帳の編み目の向こうに、掛け軸が見えた。 掛け軸には山渓が描かれている。竜もいる。指で玉をつかみ、とんがった角を生やしている。昔の人は、竜の姿を見たことがあるのだろうか。それとも、暗雲が、竜に見えたのだろうか。竜の首のつけ根には観音様が立っている。けど、蚊帳が邪魔して、薄目を開けた観音様の顔が見えない。 常夜灯だけ残して電気を消した。雨戸は、健太君に何かあるといけないので、閉めていない。 障子が、ぼんやりと浮き上がって見える。蚊帳の中が、オレンジ色に照らされる。なんだか、お姫様の寝室みたい。(つづく/文・竹内みちまろ/イラスト・ezu.&夜野青)