「安倍首相が突如、韓国叩きに転じたのは、二つの理由があるとみられている。その筆頭は、政権延命のためのガス抜きです。ご存じの通り、安倍政権は4月からの消費税アップとともにTPP交渉が暗礁に乗り上げ始めたと見られ、支持率急落の危機に瀕し始めている。このため、政権は歯止めに躍起で、読売新聞に今夏の内閣改造記事までスクープさせたほどなのです。つまり、韓国への猛反発は、これら問題から国民の目をそらすための戦略なのです」
また、二つ目の理由は安倍首相が就任時から強い意欲を示す、集団的自衛権の行使にほかならないという。
「知っての通り、安倍首相は自衛隊の国防軍昇格を目指し、憲法解釈の見直しに右舵を切りだしているが、これを実現させるためには韓国叩きで中韓を分断。防空識別圏を勝手に広げた中国を仮想敵国と見なし、尖閣周辺地域の危機を煽ることが最善の道であると見定めているのです。簡単に言えば、中国のコバンザメ的存在の韓国を叩きのめし、日中領土問題に的を絞って自衛隊を国防軍に昇格させようと目論んでいるのです」(前同)
要は、政権維持と自らの目的成就のために韓国叩きに奔走し始めたのだが、こうした安倍首相の巧妙な政治的策略は水面下でも進行中。今では国内外を問わず、壮絶な駆け引きまでをも展開しだしているのである。
外務省関係者がこう話す。
「靖国参拝問題で米政府が『失望した』とコメントしたとき、『こちらの方が失望した』と衛藤晟一首相補佐官が強気の発言をしたが、実は水面下で安倍首相は、オバマ大統領を選出した民主党と敵対関係にある共和党に衛藤を接近させているのです。理由は昨年11月に中国が勝手に拡大した防空識別圏問題で、米政府が民間航空機に限り、これを承認したから。政権延命のために、対中国問題で弱腰のオバマ政権を見限る圧力をかけ始めているのです」
また、前出の政治部記者がこう語る。
「安倍が切望する憲法解釈の見直しと集団的自衛権の行使を、公明党の漆原良夫国対委員長が連日、メルマガで批判。親中派の同党の慎重姿勢をPRしているが、これにも安倍は強気の姿勢を見せている。というのも、石原元官房副長官を国会に引っ張りだした最前線に、日本維新の会の山田宏衆院議員などを立たせており、さらに裏では、みんなの党の渡辺喜美代表と急接近しているからです。これは公明党への連立外しの圧力にほかならず、今では同党の山口那津男代表も戦々恐々としている状況なのです」
果たして、安倍総理の政権延命策は功を奏するのか。今後、韓国叩きがさらにし烈さを増すことだけは確実といえそうだ。