一方、草柳は最初、尿検査で反応が出たことから覚せい剤使用の容疑で逮捕されたが、その際、失踪した2人とは別に、19歳の女性が草柳の自宅にいたところを保護されている。
実は、この女性は草柳に覚せい剤を注射された上に、9日間も監禁状態にされていたという。草柳の自宅は一軒家だったが、女性はそのなかの四畳半に閉じ込められたままで、浴室やトイレに行く程度の自由しか与えられなかった。そして、逃げようとすると草柳から手錠をかけられた。
その女性が閉じ込められていた室内には、警察によって手錠や木刀などが押収されている。ほかにも、鉄アレイや鋼鉄製のチェーンなども散乱していたといわれる。それらはまるで「拷問用具」のように、室内の至る所に置かれていたという。さらに、大量の睡眠薬も見つかっているなど、異様な状況であった事が次々と判明していった。
そしてその部屋では、行方不明になった2人の女性も生活していたらしいのである。
しかし、この女性からあまり詳しいことを聞くことはできなかった。覚せい剤の影響で、記憶がはっきりしないところが多かったからである。
さて、その草柳という男だが、相生市出身で、高校卒業後は鉄鋼会社や印刷会社などで働くものの、無断欠勤などが多く長続きはしなかったらしい。また、結婚の経験はあるがこれも続かずに離婚。その後も再婚や離婚を繰り返し、2001年には姫路市内で死亡事故を起こし、その後服役。2人の女性が失踪する直前まで赤穂市内で溶接工として働いていたが、これも無断欠勤が続いたためクビになっている。
そして、いつしか覚せい剤も常用するようになっていた。
仕事も私生活もまともにできない草柳は、出会う女性に対しては偽名を名乗り、ウソとデタラメで自らを飾り立てていた。
「父親は金属加工会社の経営者。自分も家を2軒とクルーザーを持っている」などと、資産家を装っていた。
そんな草柳は、警察に徐々に事件の真相を供述していった。
「女2人は、殺してからバラバラに切り刻んで山と港に捨てた」(つづく)