いわくが生まれたのは、江戸時代・大坂夏の陣の頃にさかのぼる。膨大な数の兵士たちの遺体と、周囲の墓所を1カ所に集めて「難波村墓所」としたのが千日前の始まりというのだ。さらに、無縁仏や売女などの死体が運び込まれ、法善寺が千日回向を行う寺だったことから、その門前が「千日前」と呼ばれるようになった。
明治45年には「ミナミの大火」によって一帯が消失するも、松竹芸能と南海鉄道の手によって娯楽地として復活。しかし、昭和47年に未曾有の大惨事、「千日デパート火災」が発生し、118人が亡くなった。
千日デパートの跡地は、百貨店「プランタンなんば」を経て、現在はビックカメラなんば店になっている。プランタン時代は数多くの怪奇現象が起こったことでも知られていて、ビックカメラ建設にあたっては徹底した除霊と風水を取り込んで建設されたが、今も怪奇現象が報告されている。深夜、千日前を通るタクシーは、この一帯で手を上げている客をスルーするという。なぜなら、幽霊なのか人間なのかわからないのだから…。
水掛不動さんは「願いをかなえてくれる」として知られているが、まずはこの一帯で亡くなった多くの人々の霊を弔う気持ちで手を合わせるべきだろう。