「自工会の豊田章男会長(トヨタ社長)が記者会見で強調したように、自動車関連の税負担は米国の50倍も重く、新車を購入した場合、税負担が11年間で購入価格を上回ってしまうと知れば、消費者の怒りの矛先が政府に向かうのは明らか。震災の復興予算が全く関係のない事業に湯水のごとく注ぎ込まれているとあっては、なおさらのことです」(経済誌記者)
ところが、この減税は財政を直撃する。廃止も含めて「代替する手当てがない」と主張して一歩も引かない財務省や総務省が「検討」の言葉とは裏腹に、自動車業界の要求を呑む可能性はゼロに等しい。
そこで、新たなサバイバル戦略を並行する自動車メーカーから脚光を浴びているのが、低価格と低燃費が魅力の軽自動車。これまで国内の軽市場はダイハツ、スズキの独壇場だったが、特に昨年暮に参入したホンダの快進撃は目を見張る。まだ発売から1年もたたないというのに、今年上半期のシェアは15%強まで急伸しているのだ。
しかし、関係者は辛らつに語る。
「ホンダは軽自動車の開発に際し、トップクラスの技術者を登用し、これが大ヒットにつながったのですが、その反動で他の部門の開発力が落ち込んだ。ダイハツの親会社のトヨタは内心、ニンマリしています」
自動車業界は二重課税の撤廃でこそ足並みを揃えるが、消費者の車離れが加速する中、本音ではライバルをどう蹴落とすかに汲々としているのが実情だ。