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“核の冬”状態も間近 日本全土を蝕み始めるPM2.5の“死の雨”と黄砂被害

 「PM2.5が日本に飛んでくれば酸性雨になる。これが生態系ほか、さまざまな環境に影響を及ぼすことは間違いない」(PM2.5研究者)

 中国から飛来するPM2.5が、日本全土を蝕み始めている。2月26日の北京は、日本の環境基準値の15倍を超える高濃度のPM2.5で街全体が黄色くなり、日本でも日本海側の新潟、富山、さらに東京・渋谷に至っても遠くのビルが霞んで見える状態となった。

 このPM2.5がもたらすとされているのが酸性雨だ。
 「雨にPM2.5に含まれる硫酸塩などが取り込まれることで、強い酸性雨になる。影響は生態系に及び、川や湖が酸化して魚類が死に、森の木々が立ち枯れてしまう。いずれも、1980年代に世界中で見られた現象です」(サイエンス記者)

 PM2.5による日本人の健康被害は、すでに福岡県などで報告されている。ジャーナリストの村上和巳氏は、その重大さをこう語る。
 「長期的に見ればさまざまな健康被害が予想されるでしょう。直近のものは肺に吸い込むことによってもたらされる被害。PM2.5は微粒で、マスクも通してしまう。喘息の発作で亡くなる人は年間約6000人いますが、吸い込むことで喘息をさらに悪化させる。この被害が増えると思われます」

 PM2.5が喘息を誘発して死亡に至っても、それがPM2.5に関連するものと断定することは難しいため、原因究明という点で厄介な面もあるという。
 しかも、これらの被害は序章にすぎない。北京で観測されている分厚いスモッグは、「核の冬」ともいわれているのだ。
 「“核の冬”とは、核兵器使用で灰や煙などの微粒子が空気中に大量に浮遊して日光を遮る現象。これと同じような事態が起きているとされ、最悪の場合、食料不足や地球の寒冷化が進み、人類の危機となる。さらに中国では、3月に入れば黄砂が舞い飛び日本へやって来る。こちらも呼吸器系疾患の死亡率を高めるとされているのです」(前出・サイエンス記者)

 隣国から吐き出される汚れきった大気に、打つ手はなさそうだ。

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