なりふり構っていられない。何が何でも勝つ。サダムイダテンの陣営からはその意気込みがヒシヒシと伝わってきた。
「ここで負けていたら、皐月賞もダービーもない。背水の陣で臨む」と中村師は厳しい表情で言い切った。
圧倒的1番人気に支持された前走の共同通信杯。自慢の末脚は不発、5着に崩れた。勝ったショウナンアルバは先行して粘ったが、2着タケミカヅチ、3着マイネルスターリーはイダテンと同じ後方待機策だった。展開が向かなかったわけではないだけに、戦前、「ディープインパクト並みの怪物」と評していた師の落胆は大きかった。
だが、それでも資質の高さへの思いは変わっていない。新馬戦で見せた衝撃的な瞬発力。致命的な出遅れを克服して2着に食い込んだラジオNIKKEI杯2歳Sの内容から、まだまだ見限るのは早い。
この中間は思い切った手を打った。それまでCWコースで追い切っていたのを坂路追いに変更したのだ。「調教で走りすぎてしまうので」と師は説明した。より短い距離で集中力と瞬発力を磨くのが狙いだ。
その動きはほれぼれするほど素晴らしい。12日の1週前追い切りは800mを52秒1→37秒7→25秒0→12秒8。特筆ものは9日の53秒8→37秒6→23秒9→12秒2だ。ラスト2Fで24秒を切る時計はめったにお目にかかれない。中間は短期放牧を挟みリフレッシュもされており、万全の状態で出走できそうだ。
「前走はいいスタートを切りながら一度下げてしまった。今度は出たなりで乗ってもらいたい」とレースでは先行策も示唆。今回の中山1800m、そして皐月賞の中山2000mはともに直線一気が難しい条件。新しいスタイルで、西のエースの座を守る。