大久保好男社長は開局60周年記念として、旧本社があった『麹町再開発』に本格的に乗り出すことを明らかにした。
社長室内に事務局を設置し、局長に酒巻和也氏が就任した。
日テレが再開発を模索し始めたのは'10年のことである。旧本社に近い千代田区四番町の土地約800坪を、230億円で買収した頃だった。
「市ヶ谷駅から徒歩5分という抜群の場所。細かいモノを含めると、すでにその段階で1500坪の土地を手にしていたことになります」(テレビ業界事情通)
四番町近辺の土地は飛び地になっていて、それをまとめる構想は10数年前からあったようだ。ただ、周囲には日本キリスト教団などがあり簡単ではなかったのだ。
今後の計画だが、まずは麹町本館から着手。隣接土地を買収し、スタジオ棟を'17年に完成させる。
さらに、'20年には高収益オフィス棟を建設する計画だ。
日テレが不動産収入に本腰を入れるのは、TBSやフジ・メディア・ホールディングスよりも収入面で劣っているからだ。
日テレの'13年3月期の不動産収入は85億円。これに対し、TBSは153億円とかなり差をつけられていた。
また、フジMHDには傘下にサンケイビルがある。その延長線上には、お台場をカジノの本拠地にしようという政府の意向もあり、実現した場合、売り上げはさらに伸びそうである。
「広告収入がいまや頭打ち状態のテレビ局は、あらゆる副業の他、収入面で確実な不動産業に力を入れています」(前出・テレビ業界事情通)
ただし、不動産業に本腰を入れるとなると、視聴率が下がるという見本がTBSにある。
大久保社長の手腕が見ものだ。
(編集長・黒川誠一)