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タイ歓楽街 女たちの叫び! 国王死去で“自粛”イコール“死”の現実

 ソイ・カウボーイ(バンコク)の明かりが消えた。10月13日にタイのプミポン国王が崩御されたことをうけ、政府は国民に1カ月間の娯楽自粛と1年間は喪に服すことを求めた。いま、首都バンコクを行き交う人の服装は黒一色だ。

 この自粛ムードの影響を最も受けているのが、歓楽街である。
 「日本人向けの飲み屋やカラオケ店が集まるタニヤ、ゴーゴーバーが集中するパッポンなどは閑古鳥が鳴いてますよ。普段はネオンがギラつく店も、多くは自主的に休業してますし、開いていてもアルコール禁止だったり、閉店時間が繰り上げられていたりと、ゆっくり遊べる雰囲気じゃない」(現地駐在の日本人ビジネスマン)

 こうした店で客と交渉し、いわゆる「連れ出し」で生計を立てる売春婦たちの嘆きは、もっと切実だ。
 日本人クラブで働くジョイさん(21)が本音を明かしてくれた。
 「国王を敬愛する気持ちは私たちも同じですから、国全体が喪に服すのは当然です。ただ、政府が決めた1カ月間の娯楽施設の閉鎖は、私たちにとって『死ね』ということと同じです。私は18歳から体を売って仕事をしているから、これ以外に稼ぐ方法がない。田舎にいる2歳の子供のためにも働かなきゃいけないんです」

 バンコクは、サンパウロ(ブラジル)、ナイロビ(ケニア)と並ぶ「世界三大性地」といわれ、政府統計で6万人、現地紙による調査などでは30〜60万人が売春従事者(含む男性)だとされている。
 そんな“影の主要産業”を支える彼女たちは、今どうしているのか。
 「店で交渉ができないから、喪服を着て、路上で声を掛けてくるんです。いわゆる立ちんぼが通りにあふれていて、異様な光景が広がってますよ」(前出・駐在員)

 とはいえ、街では駐車違反ならぬ“自粛違反”に目を光らせる警察や軍のパトロールも警戒を強めており、イタチごっこが続いているというのである。
 「これで警察に捕まっても仕方ない。釈放された日から、またここに立つしかないわよ」(前出・ジョイさん)

 こんな状況にもかかわらず、街角の日本人男性たちからは、「喪服姿もいいな」「結構セクシーだな」などという不謹慎な会話が聞こえてくる。
 今回は政府関連施設や学校などで30日間の半旗掲揚が決まった。民間での服喪も30日だろうと地元民の間では言われている。喪が明け、タイに活気が戻るのもあと少しだ。

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