トゥーロン側が「所属リーグの規約でこの時期に国際試合をやってはいけないことが分かった」と一方的に通達してきたからだが、すでにチケットも発売されていた。今さら「規約を知らなかった」というのも、おかしな話だ。
「今回、親善試合の話が進められたのは、五郎丸(歩=30)が移籍したからでした。今、ラグビー協会とヤマハはチケットの払い戻しやらでテンテコ舞いですよ」(スポーツ紙記者)
突然のドタキャンは、2019年ラグビーW杯のホスト国・日本がナメられたことを意味するも同然。だが、親善試合を仕掛けたのは日本側。五郎丸が移籍したから試合が成立すると思ったという。
「協会は五郎丸の移籍を後方支援していました。'19年W杯まで、こうした親善試合を足場に、フランス代表やウェールズ代表とのビッグゲームに発展させるつもりでした」(同)
五郎丸は豪州・レッズに移籍したが、通用しなかった。一時は「古巣のヤマハに戻るべき。実戦感覚を失ったら…」との声も協会内から出ていた。しかし、協会が思っていた以上に“世界”は広かった。
「『ラグビー版レアル・マドリード』とも呼ばれるトゥーロンは、五郎丸を試合で使うつもりでいて、莫大な資金を元手に、各国代表選手や人気選手を集めています。各国の代表選手ばかりが所属するので、自国の代表戦と重なると、チームを一時的に離脱しなければなりませんからね」(同)
五郎丸とポジションが重なるリー・ハーフペニーはウェールズ代表で、世界屈指のプレースキッカー。その彼がチームを離脱するときに起用するというビジネス戦略で五郎丸が獲得された。
言うまでもないが、五郎丸が試合に出たとき、日本のメディアが大騒ぎするのは必至だ。
「ドタキャンになった親善試合ですが、怪我でリハビリ中の五郎丸を一時帰国させ、観客に挨拶させる段取りだったのです。もちろん、これも日本側の要請です」(関係者)
“戦力・五郎丸”に負担を掛けたくなかったのが、ドタキャンの真相なのかもしれない。