これまでかたくなに「“北・米”首脳会談」としてきた文大統領が、「米」を先に「北」を次にした、この「順序の入れ替え」にはどんな意味があるのだろうか。
従来韓国では朝鮮半島を「韓半島」、北朝鮮を「北韓」と韓国からの視点で表記してきた。例えば、日本の場合「朝鮮半島の非核化」という表現を用いるが、文大統領は「韓半島の非核化」と表現してきたのである。
韓国中心の言い回しは「北・米首脳会談」という言葉にも表れていたのだが、それが一転、「米・北首脳会談」と変わったため、そこに何らかのスタンスの違いがあると韓国国内で、いぶかしがられているわけである。
「大統領府の関係者は、『特別な意味が込められているのではない』との立場を表明しています。韓国大統領が米国に行き、米大統領と会って話すわけですから、最も近い国(米国)を立てて『米北』としただけらしいですよ」(北朝鮮ウオッチャー)
しかし、これまではいかなる場合でも同胞である北朝鮮を立てて「北米」一辺倒だった韓国。今回、米国での会談だとはいえ「米北」としたことは、北朝鮮を無視した、見限ったともとれる。
だが一方で、ある意味かえって北朝鮮との絆が深くなり、信頼が出てきたゆえの表現であるとの指摘も。非核化にしてもこれまでは「韓半島の非核化」一本やりだったのが、今回はじめて「北朝鮮の非核化」と北朝鮮をダイレクトに浮き上がらせている。
これも9月19日の南北首脳会談で、すっかり南北一体を確認し合った結果なのかもしれない。