征被告は東日本大震災と東京電力福島第一原発事故からの楢葉町復興計画を検討する委員会で、副委員長を務めていたことから、この逮捕は大きく報じられた。
ところが、事件の裏に2人を食い物にした暴力団関係者がいたことが、7月3日に東京地裁で開かれた初公判で明らかになったのだ。
震災とそれに伴う原発事故からの復興のため、征被告は必死に奔走しており、復興支援金を得ようとたびたび東京に通っていたところ、暴力団幹部が近寄ってきたというのである。
「正確な額は明かされませんでしたが、彼らは征被告からかなりの額を吸い上げたようです。征被告は自腹で何度も東京へ通っては、彼らとの会食費用も全て負担していた。そもそも拳銃はその暴力団幹部のもので、待ちに待った支援が目前に迫った時に、暴力団幹部が拳銃を使って事件を起こすようなことだけは避けたい、という思いから取り上げたとのことでした」(社会部記者)
征被告は暴力団幹部から取り上げた拳銃を息子の啓被告に預けていた。啓被告は「変な連中と会うのは止めろ」と忠告していたが、「地元への支援が迫っている」との情報を寄せる暴力団幹部を信じた征被告は聞く耳をもたなかったのだ。
法廷では検察官も「大きな詐欺に引っかかって、そういうとこに座らされて、どう思っているの」と発言。暗に渡辺親子が被害者だと認めるような質問を行った。
交通ジャーナリストの今井亮一氏はこう語る。
「征被告は最初から最後まで泣いていましたね。情状証人として出廷した奥さんも、尋問時には嗚咽し、傍聴席ではずっと鼻にハンカチをあてていました。征被告はガンマニアなどではなく、事件を防ぐために預かっていたのだというんですから、実刑では可哀想です」
求刑はそれぞれ懲役3年で、判決は8月1日に言い渡される。