A:お酒を飲むと一部は胃で吸収されますが、大半は小腸で吸収されて血中に入り、体内に送られます。最終的には肝臓に運ばれ、代謝酵素によって分解・吸収されます。
●酵素を摂ろう
アルコールの代謝を助ける食品に、発酵食品があります。発酵食品には酵素が多く含まれます。これらの酵素は「食品(体外)酵素」と呼ばれます。一方、体内で作られる消化酵素や代謝酵素は「体内酵素」と呼ばれます。
発酵食品は、納豆、味噌、ぬか漬けなどがあります。発酵食品を摂取すると、腸の善玉菌を増やし、体内酵素の合成も助けてくれます。
ですから、これらをつまみとして食べるのも一つの方法です。焼き味噌や焼き納豆などはお勧め。また、健康食品として発売されている発酵食品(酵素食品)もあるので、飲酒前に摂取するのもよいでしょう。
●炭水化物はアルコール代謝を助ける
意外に知られていませんが、アルコールが代謝される際は糖が消費されます。飲酒後にラーメンを食べたくなるのは糖質不足のサインでもあるのです。
ヒトの体は、糖質の摂取が不足すると、肝臓に貯えられているグリコーゲンをブドウ糖に変換して、これをエネルギーにします。糖質、つまり炭水化物を摂らずにお酒だけを飲むと、肝臓に負担がかかりエネルギー不足にもなります。「日本酒はお米からできる糖質食品だから、ごはん等の炭水化物は摂取しない」「太る原因にもなるから食べない」という人もいますが、それは誤りです。
炭水化物の摂りすぎは肥満や生活習慣病の原因にもなるので注意が必要ですが、飲酒する場合はごはんを適度に食べるとアルコール代謝はよくなります。締めにお茶漬けや蕎麦を食べてもよいでしょう。ただし、夜遅いラーメンは、塩分や脂肪分が多いので、あまりお勧めしません。
また、アルコールが代謝される際にはビタミンB1をはじめ各種ビタミン、ミネラル、アミノ酸も消費されます。これらの栄養素は体には欠かせないものですので、過度の飲酒は肝機能障害のみならず栄養失調にもなりやすいのです。
ですから、まずは野菜や発酵食品を十分摂り、バランスのよい食事を基本にしましょう。適度な飲酒は百薬の長です。楽しく適量に飲むことと、バランスの良い食事ができたなら、飲酒は健康的な行為となります。
年末の飲みすぎに注意!!
首藤紳介氏(湯島清水坂クリニック医師)
薬を使わない医療を実践。久留米大学病院小児科、大分こども病院、聖マリア病院母子総合医療センター等を経て、2010年より湯島清水坂クリニック(東京)に勤務。「福田−安保理論」をベースにした自律神経免疫療法により、「薬を使わない医療」を実践中。