自民党は惨敗が決まった途端、あくまでも1選挙区で負けただけだと選挙結果を気にしない姿勢に転じた。
伊吹文明党幹事長は「民主党候補が(過去にも)勝っていた非常に難しい選挙区だった。(後期高齢者)医療制度について本来の制度と違うキャンペーンを張られた」などといまさら言い訳を始め、谷垣禎一党政調会長にいたっては「一致団結して福田政権を支える」とKY発言をぶちかました。それじゃあ民意を踏みにじると宣言しているようなものだ。
事実は「勝てば政局の流れが変わる選挙」と位置付け、福田首相自ら現地入りして応援演説するほど力を入れた。もっとも福田首相は「私もいい年なんだけどね、元気にやってますから。頑張りますから」といつもの調子で淡々と述べただけ。地元県議は「生活実感ゼロ。マイペースでまるで人ごと」と頭を抱えるしかなかった。
いずれにしても総力戦で臨んだ揚げ句の惨敗ゆえにいよいよ本格化する“倒閣Xデー”が気になる。しかし、水面下では「やはり福田首相では総選挙は戦えない。解散、総選挙は遠のいた」(自民党幹部)との声が漏れる。あまりの国民の不人気ぶりにXデーを延ばそうというのだから、もはやあきれるしかない。
27日の投開票では、民主党の前衆院議員で社民党推薦の平岡秀夫氏(54)が、約2万票余りの大差をつけ自民党新人で公明党推薦の元内閣審議官山本繁太郎氏(59)を破り、4回目の当選を決めた。民主党は昨夏の参院選に続き民意が示されたとして「ねじれ国会」の主導権確保を図る。他の野党とともに当面の「道路決戦」で攻勢を強めるとともに、後期高齢者医療制度(長寿医療制度)の廃止も強く求め、早期の解散・総選挙に追い込みたい考えだ。
道路特定財源を今後10年間維持する道路整備費財源特例法改正案は5月12日から衆院再議決が可能になるが、同法案への与党対応を見極めながら問責決議案を判断する。
民主党の鳩山由紀夫幹事長は27日の記者会見で、補選の結果に関し「後期高齢者医療制度への批判が大きかった」と指摘し「年金記録、道路問題を加えた3点セットを国会で追及しながら、いつ問責するか最良のタイミングを考えたい」と強調。同時に「福田政権が国民の批判を受けている。今国会中にまったくそのような手だて(問責)を講じないことは考えにくい」との認識を示した。