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激増する一酸化炭素中毒

 日本海側が記録的な大雪に見舞われるなど、この冬の寒さはハンパではない。毎年冬になると、一酸化炭素(CO)中毒による救急出動が多発するが、今年の冬は一段と多いという。

 世田谷井上病院の井上毅一理事長が言う。
 「節電の意識が浸透し、部屋に練炭などを持ち込み使っている人が増えています。田舎でもコタツに練炭を入れ使われる場合も多く、被災地では石油缶をくり抜いてストーブを作り、部屋に持ち込んで暖を取っている家庭もある。しかし、十分な喚気をしていないため事故を起こすケースが少なくないんです」

 CO中毒は死亡率30%以上といわれる。インターネットで仲間を募り集団自殺を図る事件が相次いだ'03年以降、死者は数倍となり、現在も自殺の15%を占めるほどだ。それが今は、節電の影響で死者を増やしているから皮肉だ。
 つい先日も、岐阜県中津川市で蕎麦打ちの体験をしている中学生や調理に当たっていた職員が、一酸化炭素中毒で病院に搬送される騒ぎがあった。都市ガスにはニオイをつけてあるが、一酸化炭素は無味無臭。気付かないうちに中毒に陥るため、十分な注意が必要だ。
 「一酸化炭素中毒は生体組織内のガス交換が妨げられる内窒息状態になることです。初期症状は頭痛、吐き気、めまい、瞳孔の縮小、悪心です。その後、呼吸数や脈拍が増加し、意識があっても体が動かなくなり、やがて呼吸微弱、心機能低下、血圧低下を招き死に至る。一酸化炭素中毒による死者は肌がピンク色で綺麗です。CO中毒自殺を図る人が後を絶たないのも、そのせいかもしれません」(井上理事長)

 節電と換気、両方の意識が必要だ。

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