にわかに信じがたいシナリオだが、その伏線はあった。橋下氏と江田氏の協議では、橋下氏が単独で維新を抜け、みんなの党に加わる“ウルトラC”も話し合われていたという。
橋下氏の維新への執着が薄れつつあるのは間違いないが、良くも悪くも橋下氏ありきの政党であるのも確か。しかし、既に後継者まで念頭にあるほど、気持ちは離れているようだ。
「橋下氏は1月中旬、野党に転落した民主党内で冷遇が続く前原誠司元外相と極秘に会い、維新に合流するタイミングと処遇をすり合わせました。その結果、前原氏は7月の参院選の後で民主党を離れ、維新に加わることで合意したようです。安住淳元財務相や玄葉光一郎前外相ら、何人かも同行させることを約束した。その論功行賞で、橋下氏は前原氏に代表のイスを譲るのです。そして、そのまま政界から引退する可能性があります」(維新関係者)
ただ、維新は橋下氏と石原氏の共同代表制だ。前原氏への禅譲に、石原氏が納得するだろうか。
「慎太郎氏は最近、体調不良を理由に入院していましたが、高齢のため一線で活動するのは無理ですよ。永田町では再起困難な重病説まで駆け巡りましたが、その真偽はともかく、もともと慎太郎氏は参院選を終えたら引退するつもりです。橋下氏と慎太郎氏のツートップが同時に退き、後継に保守色の強い前原氏が抜擢されれば、自民党は連立政権を持ちかけるでしょう。慎太郎氏の悲願が成就するわけですから、前原氏を拒む理由はまったくありません」(同)
では、橋下氏は政界引退後にどう動くのか。鍵を握るのが、歌手でタレントのやしきたかじんだ。
「橋下氏にとって、たかじんは政界への挑戦を強く後押ししてくれた恩人。昨年1月から初期の食道がんで療養していたたかじんに、橋下氏は何度も密会しており、単なるお見舞いにしては不自然ですよ。漏れ伝わっているのは、橋下氏が政界引退後に芸能活動をスムーズに始められるよう、アドバイスを受けているという情報です。これだけ政界を引っ掻き回したわけですから、いろんなネタを持っているでしょうし、視聴率もかなり稼げるでしょう」(芸能ジャーナリスト)
そしてもう一人、橋下氏の成功を語る上で欠かせない恩人がいる。島田紳助だ。暴力団との交際を理由に芸能界を引退した紳助を、橋下氏は復帰させようと動いているという。
「橋下氏は紳助と連絡を取っているらしく、政界引退後は紳助の口利きで吉本興業に入りそうです。一方の吉本は、紳助を復帰させるタイミングを今も探っている。橋下氏を囲い込み、持ち味である突破力を駆使して、紳助を何とか表舞台に引っ張り出すよう促すつもりでしょう」(同)
政界にいても、政界から姿を消しても、橋下氏が世間の耳目を集め続けるのは間違いなさそうだ。