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昭和大医学生による暴行殺人事件でクローズアップされた外国人風俗嬢への差別

 高須クリニックの高須克弥院長がオフィシャルツイッターで“裏口入学”を告白し、話題となったのは昨夏のことだ。東京医科大の裏口入学問題を受け「僕も裏口入学だよ」とツイートしたわけだが、話の中身は、1次の学力試験を優秀な成績で通過し、2次試験の面接は、父親(医師、41歳で死去)と顔見知りの教授が担当したため、高須家の家計を慮って入学金を半額にしてもらったという話だった。

 過去にさまざまな“ウワサ”のあった高須院長の母校、昭和大学には問い合わせが相次ぎ、高須院長は同日「あれは裏口ではなく、勝手口です」と訂正した。その昭和大学は、東京医科大の裏口入学余波は何とかかわしたが、立て続けにハレンチ犯罪に見舞われた。

 昭和大学病院の医師・金古政隆容疑者(28)と同病院の研修医大林久晃容疑者(26)が今年1月、東京・品川区のカラオケ店で20代の女性に催眠作用のある薬物が入った酒などを飲ませた上、金古容疑者の自宅マンションに無理やり連れ込み、性的暴行を加えた準強制性交容疑で2月27日に逮捕されたのだ。

 容疑者が使用した催眠作用のある薬は市販薬ではないため、警視庁は勤務先の昭和大学病院を家宅捜索するなど入手先を調べている。

 金古容疑者は岩手医科大学の出身、大林久容疑者は、高須先生やあの林修先生の出身校である愛知県の名門私立東海高校から昭和大学に進んでいる。

 両容疑者が処方した催眠薬は、悪用される恐れがあるので詳しい成分は公表されないだろうが、医学・薬学知識の誤った使い方は、医道を著しく汚したことになる。

 2月9日にはやはり昭和大学医学部2年生の四十宮直樹(20歳)容疑者が警視庁に逮捕されている。容疑は昨年12月18日にJR山手線の鶯谷駅付近のラブホで、トルクレンチを使っての暴行の末の殺人だ。捜査した下谷署によると、亡くなったのは派遣型風俗店店員セーンネ・パニダ(19)さんで、四十宮容疑者は暴行後、ホテルの窓から飛び降りて重傷を負い病院に入院していた。

 報道によれば、逮捕前の調べで「外国人が風俗店に勤務していることや、時給が良いことが許せなく、殺そうと思った」などと語っていたという。報道された動機が本当なら外国人に対するヘイトクライム(偏見や憎悪に基づく犯罪行為)である。

 「被害女性の実名まで挙げただけでなく、不法就労だったことや日本に来た経緯、彼女が働いていた風俗店について『入管難民法違反(不法就労助長)』の疑いもあることなど、もし被害者が日本人女性なら、これほど事細かな背景までわざわざ報じなかったのでは」(社会派ジャーナリスト)

 四十宮容疑者にしろ、メディアにしろ、その根底には女性を軽視するメンタリティーがあり、同時に風俗業界で働く女性、さらには外国人風俗嬢に対する差別的感情が交差している。

 不法滞在はもちろん良いことではないが、メディアなどで必要以上に「犯罪性」を訴え、排外感情を誘発させるのは、外国人労働者議論が盛んな時期でもありいかがなものだろう。

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