休眠預金とは、銀行などで10年以上お金の出し入れのない口座に入っている預金を指す。大半の口座は、一口座につき数百円から数千円と取るに足らない金額だが、そのすべてを合算すると8000億円にも上るといわれている。その資金を東日本大震災からの復興財源に充てることを計画していたわけだが、民主党の大失速とともに立ち消えとなりそうだ。
「この事態に、銀行サイドからは歓迎する声が聞こえています。銀行が最後の取引から10年が経過した預金を利益として計上していることに目を付けた民主党が、『預金を銀行の利益とすることは間違い』として、休眠預金の有効活用を発案したのですが、銀行からすれば、『利益計上の先送りをして重加算税が課されるのを避けるために、便宜上、利益計上しているにすぎない』という主張があるからです」(金融ジャーナリスト)
実際、銀行は何年経とうが預金者から引き出し依頼が来た場合に応じていた。加えて、休眠口座であれ口座を管理する費用は銀行側が負担しているので、「オイシイところだけ、政府に持っていかれてはたまらない」(全銀協関係者)というわけだ。
しかし、自民党政権も、この8000億円に目を付けることは容易に想像が付く。政府のモノなのか、銀行のモノなのか。我々預金者が一様に数百円を放棄したとすると、その第三者による8000億円争奪戦が本格化するだろう。
2012年11月に開催された『休眠預金の活用にかかる意見交換会』で当時の前原国家戦略担当大臣は、「まさに“生き金”として使うということが大事」と発言したが、預金は預金者が使うものであることをお忘れなく。